2000 Fiscal Year Annual Research Report
動的資源管理機能を備えた大規模並列プログラミング環境の開発と計算化学への応用
Project/Area Number |
11558029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 謙太郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80178970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 周吾 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90272442)
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Keywords | 並列計算 / 並列プログラミング環境 / MPI / プロセッサ割当て / スケジューリング / 分子動力学計算 / 計算化学 |
Research Abstract |
本研究は、動的資源管理機能を備えた大規模並列システムのための並列プログラミング環境を開発するとともに、計算化学の諸問題に適用して、その有用性を実証することを目的とする。昨年度、開発したプロトタイプを基礎として、本年度は以下のような研究を行った。 1.タスク間通信の機構を設計・実装した。タスク間の通信をMPI(Message Passing Interface)の通信命令に変換する機構を開発するとともに、タスクの実行結果をいちいちマスタプロセッサに返さず、その結果を使用するスレーブプロセッサに直接受け渡す機構を開発した。また、MPIの効率的なメッセージ受渡し命令(ブロードキャスト、集約演算など)を利用する最適化についても検討を行った。 2.1台のプロセッサ上で、タスクを多重化する機構を実現し、送られてきたメッセージ(実行結果など)を即座に受信することにより、送受信の待ちを低減する工夫を行った。 3.上記の機構を備えた並列プログラミング環境をCOMPAQ DS20クラスタ上で開発し、さらに、IBMSP2、日立SR2201、Pentiumクラスタに移植して性能評価を行った。代表的な計算化学のアプリケーションである分子動力学シミュレーションに適用することにより、これらの計算機において、従来の並列計算法(空間分割法)よりも、高いスケーラビリティと、3〜10倍の高速化を達成した。また、このような性能を得るのに、プログラムの変更をまったく必要としないことを実証した。さらに、上記の計算機やワークステーションから構成される異種分散環境においても、動的なスケジューリング機能により、プログラムの変更なしに、プロセッサを有効に利用し、高い性能が得ることができることを示した。 4.負荷分散、タスク間の通信および入出力の高速化を目的とした総合的なプロセッサ割当て方針について検討を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 関嶋政和: "サブタスク間の依存関係に基づくスケジューリング機構を備えた並列プログラミング環境の開発"情報処理学会論文誌プログラミング. 41,SIG2. 65-77 (2000)
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[Publications] 関嶋政和: "A parallel programming environment with dependence-driven task scheduling in distributed-memory multiprocessor systems"Proceedings of the International Conference on Parallel and Distributed Computing Systems. 348-354 (2000)
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[Publications] 高崎慎也: "Scheduling policy and mechanism of Parsley parallel programming environment"Proceedings of the IASTED 11th International Conference Distributed Computing and Systems. 605-610 (2000)
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[Publications] 門田幸二: "マイクロアレイを用いた発現データベース構築とデータマイニング"Molecular Medicine. 37,10. 1186-1194 (2000)
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[Publications] 池口満徳: "Molecular dynamics study on hydrophobic effects in aqueous urea solutions"Journal of the American Chemical Society. 123,4. 677-682 (2001)
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[Publications] 繁田聡一: "Access route control by extended key/lock scheme"International Journal of Computer Systems,Science and Engineering. (発表予定).