2001 Fiscal Year Annual Research Report
動的資源管理機能を備えた大規模並列プログラミング環境の開発と計算化学への応用
Project/Area Number |
11558029
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
清水 謙多郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80178970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 周吾 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (90272442)
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Keywords | 並列計算 / 並列プログラミング環境 / MPI / プロセッサ割当て / スケジューリング / 分子動力学法 / 計算化学 |
Research Abstract |
本研究は、動的資源管理機能を備えた大規模並列システムのための並列プログラミング環境を開発するとともに、計算化学の諸問題に適用して、その有用性を実証することを目的とする。本年度は、以下のように研究を実施し、並列プログラミング環境を完成させた。 1.タスク間の依存関係を表したタスクグラフに繰返し構造がある場合、タスクの実行の履歴をもとに、スケジューリング方式を自動改善する機構を開発した。基本的な方針は、定期的にスケジューリングを行い、その都度、遅れている処理ほど優先的にプロセッサを割り当てるとともに、タスクの実行時間に基づいて、その先のタスクグラフを再構築するというものである。分子動力学法にこの機構を適用し、クラスタ型並列計算機上で性能評価を行った結果、プロセッサ台数が16台のとき、プロセッサ使用率を55%向上させることができた。 2.昨年度に引き続き、タスク間通信の機構を実現した。効率的なプロセッサ間のメッセージ受渡し機構への変換(ブロードキャスト、集約演算など)、タスク多重化の機構、タスク間通信におけるデータ圧縮などの機構を実装した。とくに、タスク多重化については、データ転送と計算のオーバラップ処理により生能を向上させることができた。ただし、本システムを実装したMPIがスレッド機能をもたないため、ポーリングによってこの多重化を実装することになり、本来の多重化の効果を十分に確認することができなかった。 3.開発したシステムを基盤として、分子動力学計算や自由エネルギー計算など、種々の機能を実現するモジュールを統合した、生体分子の構造予測・機能解析を行う総合的なシステムのプロトタイプを構築した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 門田幸司: "Preprocessing implementation for microarray (PRIM) : an efficient method for processing cDNA microarray data"Phisiological Genomics. 4, 3. 183-188 (2001)
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[Publications] 池口満徳: "Molecular dynamics study on hydrophobic effects in aqueous urea solutions"Journal of the American Chemical Society. 123,4. 677-682 (2001)
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[Publications] 繁田聡一: "Access route control by extended key/lock scheme"International Journal of Computer Systems, Science and Engineering. 16,5. 319-325 (2001)
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[Publications] 繁田聡一: "キー/ロック方式の拡張によるアクセスルートコントロール"情報処理学会論文誌. 42,6. 1545-1556 (2001)
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[Publications] 中村周吾: "A new method for parallel computation of Hessian matrix of conformational energy function in internal coordinates"Journal of Computational Chemistry. 23,4. 463-469 (2001)
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[Publications] 清水謙多郎: "コンピュータを用いたタンパク質の立体構造予測"日本農芸化学会シンポジウム「ポストゲノム時代の植物科学」予稿集. 36-38 (2001)