2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11558063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 健二 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00159766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
執行 信寛 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40304836)
有馬 秀彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20253495)
前畑 京介 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30190317)
池田 裕二郎 九州大学, 日本原子力研究所・中性子科学研究センター, 室長
新冨 孝和 九州大学, 高エネルギー加速器研究機構・低温工学センター, 教授 (10016082)
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Keywords | 高エネルギー中性子 / 液体メタン / シンチレーション光 / ジフェニルスチルベン / キセノン / 自己トリガー |
Research Abstract |
本年度は液体メタンのシンチレーション発光現象について調べた。メタンの発光原理は以下の通りと考えられる。液体メタン中に中性子やガンマ線が入射すると、中性子はメタン中の水素原子(陽子)または炭素原子核と、ガンマ線は電子とそれぞれ散乱する。生成された陽子や電子はメタン分子にエネルギーを付与する。励起されたメタン分子が基底状態に遷移するとき、可視光領域のシンチレーション光を発光する。 この光はメタン分子に再吸収されるので、キセノンを添加し光の波長を変化させ、再吸収が起きないようにする。波長を変化させた光は通常の光電子増倍管では検出できないため、再び可視光に変化させるためにジフェニルスチルベンを窓材に蒸着した。 測定は、始めに装置全体を摂氏100度でベーキングし、ガスを完全に置換した。ガスをオキシソーブに通し、不純物を取り除いた。この後、冷凍機を運転し、20時間かけてメタンを液化した。シンチレーション光の測定にはアメリシウム-ベリリウム中性子線源からの中性子を用いた。また、コバルト60ガンマ線源を液体メタンに入射した場合についても測定した。両者の測定結果を比較して、中性子入射による事象とガンマ線入射による事象を弁別可能であることが示された。次に、キセノンを添加した場合としなかった場合についても測定を行った。その結果、キセノンの有無に関わらずシンチレーションの観測の様子は変わらず、液体メタンにおけるシンチレーション光の再吸収の影響は小さいことが分かった。また窓材にジフェニルスチルベンを蒸着した場合としていない場合についても測定を行った。この結果ジフェニルスチルベンによる光の波長変化の効果を確認できた。光電子増倍管を180度方向に2本設置し、シンチレーション光を同時計測することにより、期待される時間投影型チェンバーの自己トリガー信号として使用できることが分かった。
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