1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え高分泌性酵母を用いた担子菌リグニン分解酵素大量生産システムの開発
Project/Area Number |
11558071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田口 和久 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20134819)
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Keywords | マンガンペルオキシダーゼ / Elfvingia applanata / リグニン分解 / コフキサルノコシカケ / DNA配列解析 / 白色腐朽菌 |
Research Abstract |
維管束植物の木部に特に多く含まれているリグニンは、ヒドロキシフェニルプロパン単位(C6-C3)を基本単位として重合した天然高分子物質であり、これが細胞壁に沈着することにより木部組織は強固化され植物支持体としての役割が可能となっている。木質材料の主たる用途であるパルプ製造プロセスでは塩素系の薬剤を導入して脱リグニン反応を行い脱色操作を行っており廃液中の塩素の存在が製造コストを高めている。自然界においてリグニン分解作用を担っているのは主として白色腐朽菌であり、同菌は菌体外に酵素を分泌することによりリグニンを含む難分解性芳香属化合物を巧みに生分解している。本研究ではこの点に着目し、脱リグニン反応用のリグニン分解酵素を大量生産するために、担子菌コフキサルノコシカケElfvingia applanata(Ganoderma applanatum SMC700)株が産するヘムタンパク質マンガンペルオキシダーゼ(Mnp、マンガンイオン依存性リグニン分解酵素)に注目し、その遺伝子をクローニングすると同時に遺伝子発現の機構を考究し、メチトローフ酵母宿主系などを活用してマンガンペルオキシダーゼを大量発現させる手法の確立を目的としている。平成11年度においては、担子菌E.applanata株のリグニン分解反応の活性はマンガンイオンに依存していることをまず確認した。次にE.applanata株の全RNAから、幾つかの白色腐朽菌において単離され報告されているMnPのアミノ酸配列をもとにPCR法でDNA断片を増幅し、これをプローブとしたプラークハイブリダイゼーションを行いクローンを取得した。取得クローンはEcoRIで消化、サザンハイブリダイゼーションを行いMnPとしての確度が最も高いクローンを選抜した。DNAシーケンサー(主要設備品)を用いて選抜したクローンの塩基配列を決定した。このcDNAは1,095bpからなるORF領域をもち、その推定アミノ酸配列(365 a.a.)には、既知のMnPで保存されている領域が幾つか確認できておりMnP遺伝子が取得できたと考える。
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