2000 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学組換之高分泌性酵母を用いた担子菌リグニン分解酵素
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11558071
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田口 和久 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (20134819)
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Keywords | マンガンペルオキシダーゼ / 白色腐朽菌 / コフキサルノコシカケ / Elfvingia applanata / リグニン分解 / クローニング |
Research Abstract |
土壌、河川、海洋などの自然界物質循環サイクルによっては分解し難い難分解性物質のうち毒性を呈する物質はその環境残留性が深刻な社会問題に繋がることが危惧されている。化学製品由来成分中、量的に多い芳香族難分解性物質と自然界難分解性物質リグニンの構成要素との間には化学構造、官能基には共通する部分が多い点に注目し、本研究では、難分解性物質分解用生体触媒として白色腐朽菌担子菌コフキサルノコシカケElfvingia applanataが分泌するリグニン分解酵素の要となっているマンガンペルオキシダーゼ(MnP)の遺伝子のクローニングおよびメチトローフ酵母Pichia pastorisによる当該遺伝子大量分泌発現システムの構築を目標とした。酵母にはP.pastoris GS115(ATCC20864)、ベクターにはpPIC9K(Invitrogen)を用いた。分泌実験用マーカーとして大腸菌ヌクレアーゼEcoRIr^+遺伝子がコードするEcoRIを使用した。これをpPIC9Kに組換え、エレクトロポレーションにより酵母ゲノム内に挿入した。ダイレクトPCRによりゲノム内挿入が確認できた菌を単離し、メタノール存在下で培養、上清を限外ろ過濃縮しSDS-PAGEを行った。その結果、推定分子量35KDaの位置にEcoRI(分子量31.8kDa)である可能性の高い分泌タンパク質を大量に獲得することができた。一方、前年度に担子菌E.applanataより取得したMnP遺伝子は364アミノ酸残基から構成されており、推定アミノ酸配列には、ペルオキシダーゼ活性部位、マンガン結合部位、リグニン様低分子化合物結合部位などが保存されていた。発現解析を行った結果、同遺伝子の発現量はマンガンイオン(II)または2,5-キシリジンの添加により上昇した。なお、E.applanata培養中のリグニン分解量もマンガンイオン(II)または2,5-キシリジンの添加により上昇した。推定アミノ酸配列からE.applanata-MnPはヘム蛋白であることも明らかと成ったが、E.applanataヘム合成遺伝子はクローニングされていないため、P.pastorisにょるE.applanata-MnP遺伝子の活性発現はこの段階では困難であることが判明した。今後、担子菌自身へのクローニングの検討が必要と考える。
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[Publications] Maeda,Y.,S.Kajiwaia and K.Ohtaguxhi: "Manganese peroxidine gene of the perennial mailroom Elfvingia appalanta eloping and Walton of the relationship with lignin depadatia"Biotechnology Letters. 23. 103-109 (2001)
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[Publications] 前田寺政,梶原将,太田口和久: "白色腐朽菌コフキサルノコシカケ由来マンガンペルオキシダーゼー遺伝子のクローニングとその発現解析"第22回日本分子生物学会手会講演要旨集. (1999)