2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11558076
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
西村 和之 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (00261595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 信一 新日本気象海洋(株), 環境創造研究所・バイオ技術グループ, 職員(研究職)
国包 章一 国立公衆衛生院, 水道工学部, 部長(研究職) (90083740)
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Keywords | Microcystin / protein phosphatase / 固定化酵素 / モニタリング装置 / 検出手法 / 実態調査 |
Research Abstract |
本研究は、Microcystin(MC)の熱抽出法とprotein phosphatase(以下PP)活性阻害によるMC分析手法を応用した、MC濃度のモニタリングを目的とする据え置き型バイオセンサーの試作を行った。また、PP活性阻害法等を用いた実態調査により我が国におけるMCの現状把握を試みた。 1.バイオセンサーの試作 MCモニタリングを目的とするバイオセンサーを考案し試作した。 本システムは、試料採取とMC抽出を行うろ過抽出部、共存妨害物質を排除し濃縮を行うろ過濃縮部とPP固定化カラムによりMC濃度を測定する検出部から構成される。 本研究で試作したシステムフローを以下に示す。ろ過抽出部では、ポンプで熱抽出槽に試料を送りMCの熱抽出を行った後、懸濁物質をろ別する。ろ過濃縮部では、ろ液中に含まれるMCを限外ろ過により濃縮する。このように前処理された試料は、牛脳から抽出・精製されてグルタルアルデヒド架橋により固定化したPPカラムに注入される。試料注入前後のPP活性の差を元に、試料中のMC濃度を計算する。本システムでは、これら一連の操作が約2時間で自動的に行われる。本研究の結果、架橋法で固定化した固定化PPの酵素活性は、冷蔵条件下で80%以上の活性を約2週間保持する事が明らかとなり、本システムに応用することができた。また、従来よりも組成が単純で冷蔵保存可能なbufferを調整できた。 2.ミクロシスチンのモニタリング 既存のELISA法やPP活性阻害法等を用いて水道水源池等における定期調査を実施した。調査した水道水源地の約13%の試料水からMCが検出されたが、MC濃度とMicrocystis数との間に明確な関係は見られなかった。一方、富栄養化した農業用ため池内の水温やMicrocystisの消長とMC濃度は明確に対応しており、夏期に極めて高濃度のMCが検出された場合でも水温の低下する秋期以降は検出限界近くにまで減少することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 宮本信一,伊藤光明,西村和之: "酵素活性阻害法による環境水中のミクロシスチン濃度の測定"第34回日本水環境学会. 239 (2000)
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[Publications] 菅原繁,国包章一,真柄泰基: "カオリン人工濁水の凝集沈殿に与えるカルボン酸の影響"水道協会雑誌. 69、10. 2-10 (2000)