1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作によるヘパラン硫酸鎖構造の変換による血管新生の制御とその機構の研究
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11558083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / プロテオグリカン / 硫酸化転移酵素 / HS6ST / HS2ST / イソフォーム / PAPS / ドミナントネガティブ効果 |
Research Abstract |
ヘパラン硫酸6-O-硫酸転移酵素(HS6ST)について、cDNA解析により計3種類のイソフォームより成ることを明らかにした。最初に得た精製酵素に最も高い相同性を示すHS6ST-1の他に、全く異なる遺伝子に由来する2種類(HS6ST-2,-3)が存在し、各々、ウロン酸構造を異にする基質特異性をもち、組織により発現が異なる、従って組織特異的なヘパラン硫酸鎖構造の生合成に極めて重要であると思われた。既に単離に成功しているHS2STとこれら3種類のHS6STイソフォームのcDNA配列の相同性からの情報を合わせて、共通の硫酸基ドナーであるPAPSの結合部位に対応するアミノ酸配列モチーフを特定し、各々の酵素について、モチーフ中の一個のアミノ酸置換により発現酵素活性は何れも零になること、またこれらの変異酵素の発現により細胞がもともと持つO-硫酸化酵素の活性が30%にまで低下するいわゆるドミナントネガティブ効果を誘起することを明らかにした。一方の基質、糖鎖との結合活性部位については、米国、NIHのNegishi博士との共同研究でX線回折による3次元酵素構造をもとに予測し、遺伝子組み換えにより、基質特異性を置換した酵素を発現、ヘパラン硫酸構造の改変を目指した。現在、結晶化に必要な活性のある可溶性のレコンビナント酵素を多量に発現させる条件を4種類について検討中である。既に上記の変異O-硫酸化酵素遺伝子を血管形成能のある細胞系に導入・発現させて、ヘパラン硫酸鎖の構造変化を特異分解酵素-抗体-高速液体クロマトグラフィーによる分析システムで解析し、一部については予想した構造変換したヘパラン硫酸鎖をもつプロテオグリカンが合成されることを確認した。アンチセンス遺伝子の導入効果についても、同様な効果を確認中である。遺伝子導入方法として計画したウイルスによる方法は既に技術的に確立し、また今後の展開を考え、発現ベクターとして誘導性ものを試作している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K. Ogura, K. Nagata, et al.: "Solution structure of human acidic fibroblast growth factor and interaction with heparin-derived hexasaccharide."J of Biomolecular NMR. 13. 11-24 (1999)
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[Publications] H. Morita, T. Shizato, et al.: "Variable expression of heparan sulfate epitopes in crescents of human glomerulonephritis."Virchows Arch. 434. 145-151 (1999)
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[Publications] H. Habuchi, M. Tanaka, et al.: "The occurrence of three isoforms of heparan sulfate 6-O-sulfotransferase having different specificities for hexuronic acid adjacent to the targeted N-sulfoglucosamine."J Biol Chem. 275. 2859-2868 (2000)
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[Publications] 木全弘治: "糖鎖硫酸化反応とその生物学的役割"細胞工学. 18. 318-324 (1999)
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[Publications] 羽渕弘子,木全弘治: "ヘパラン硫酸の硫酸化と増殖因子シグナリングの制御"細胞工学. 18. 325-332 (1999)
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[Publications] K. Kimata, H. Habuchi, et al.: "WORKSHOP VI CELL SURFACE PROTEOGLYCANS IN SIGNALLING AND DEVELOPMENT."Heparan sulphate O-sulphotransferases and synthesis of the growthfactor binding site.. 47-52 (1999)