2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子操作によるヘパラン硫酸鎖構造の変換による血管新生の制御とその機構の研究
Project/Area Number |
11558083
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 教授 (10022641)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / プロテオグリカン / 硫酸化転移酵素 / HS6ST / オリゴ糖 / イソフォーム / PAPS / 細胞内酵素局在 |
Research Abstract |
1)ヘパラン硫酸鎖構造改変による細胞増殖因子活性の調節 ヘパラン0-硫酸化酵素(HS2STとHS6ST-1,-2,-3)活性の遺伝子操作による活性制御の研究中にHS6ST-2には、プライスド形(HS6ST-2Sと命名)が存在し、オリジナル型はむしろ脳などに特異であり、スプラシスド型の広い分布を見出した。従って、ヘパラン硫酸6-0-硫酸化には4種の酵素の関与があり、ターゲット組織におけるこれらの発現を考慮する必要があることが分かった。昨年度に明らかにした遺伝子導入細胞においてin vitroで観察された酵素活性の変動に見合うヘパラン硫酸構造の変化が観察されない原因を解析した。ヘパラン硫酸の糖鎖合成酵素と硫酸化酵素は複合体を形成し、ゴルジ体における局在、作用のタイミングとバランス、さらに他因子(膜構成分子など)との相互作用がヘパラン硫酸糖鎖構造に大きく影響することを見出した。従って、ヘパラン硫酸構造の制御にはこれらの要素も考慮する必要があることが判明した。一方、上記の計5種類のヘパラン0-硫酸化のレコンビナント酵素の大量調製に成功し、試験管中でVEGF、FGF-2、HGFなど血管新生関与の細胞増殖因子に各々特異結合活性をもつヘパラン硫酸オリゴ糖の調製が可能となった。実際、この方法で合成したFGF-2特異結合活性をもつオリゴ糖をヒト細胞株(hMEC-1)に添加し、その増殖の特異抑制が可能であることを示した。 2)血管新生モデル系におけるヘパラン硫酸鎖構造改変による影響の解析 マウスのEHS腫瘍をin vivoでの解析系として計画のようにアデノウイルスを用いたヘパラン0-硫酸化酵素の一過性の過剰発現、及びドミナントネガティブ効果を期待した異常酵素の一過性の過剰発現の何れにおいても腫瘍におけるヘパラン硫酸構造の有意義な変化は観察されなかった。むしろFGF-2結合性のオリゴ糖投与が阻害の兆候を示し、今後に期待を残した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] J.Rong, H.Habuchi, et al.: "Substrate specificity of the heparan sulfate hexuronic acid 2-O-sulfotransferase"Biochemistry. 40. 5548-5555 (2001)
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[Publications] K.Kamimura, M.Fujise et al.: "Drosophila heparan sulfate 6-O-sulfotransferase (dHS6ST) gene : Structure, expression, and function in the formation the tracheal system"J Biol Chem. 276. 17014-17021 (2001)
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[Publications] M.A.S.Pinhal, B.Smith, et al.: "Enzyme interactions in heparan sulfate biosynthesis : Uronosyl 5-epimerase and 2-O-sulfotransferase interact in vivo"Proc Natl Acad Sci U S A. 98. 12984-12989 (2001)
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[Publications] H.Yabushita, Y.Noguchi, et al.: "Effects of chemically modified heparin on Chlamydia trachomatis serovar L2 infection of eukaryotic cells in culture"Glycobiology. (in press). (2002)
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[Publications] 羽渕脩躬, 羽渕弘子, 木全弘治: "糖鎖伸長酵素と特異的硫酸化酵素のノックアウトによるヘパラン硫酸、ヘパリンの機能解析"細胞工学. 20. 204-210 (2001)
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[Publications] 羽渕弘子, 木全弘治: "上皮と間充織のはざまにあるヘパラン硫酸プロテオグリカン"生化学. 73. 1246-1256 (2001)
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[Publications] 芦刈-羽田智子, 木全弘治: "プロテオグリカンの解析"臨床検査. 46. 107-110 (2002)