2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝臓幹細胞分離法の確立とその分化能を利用した人工肝臓構築のための組織再生工学
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11558101
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Research Institution | Akita Univereity |
Principal Investigator |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤井 博 秋田住友ベーク(株), 研究員
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (60197796)
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Keywords | 幹細胞 / 細胞移植 / コラーゲンゲル / コラーゲンスポンジ / 無アルブミンラット / 細胞分化 |
Research Abstract |
[目的] 我々はこれまでに、健常ラットから肝臓幹様細胞と考えられる未分化な肝上皮細胞株を樹立し、これをコラーゲンゲル内での3次元培養および肝星細胞との共培養を行うことによって、in vitroでアルブミンを発現する細胞に分化させることに成功してきている。本年度は、この幹様細胞を組織工学的にどのように加工すれば、in vivoで肝細胞として機能できるどうかを検討した。 [方法] (1)細胞移植:移植した細胞の機能を容易に判定するため、移植には無アルブミンラットを用いた。移植は、細胞をコラーゲンゲルと混合して直接ラット肝臓に注射する方法と、スポンジ状に加工したコラーゲン内に播種した細胞をスポンジごとラット腹腔内大網上に置く方法によって行った。(2)蛋白発現の検討:細胞免疫染色法により移植した細胞でのアルブミン発現を検討した。移植後の血清アルブミンの変化はウェスタンブロツト法で調べた。 [成果] (1)コラーゲンスポンジを担体として移植した場合、スポンジ内にアルブミンを発現する細胞が認められたことから、未分化な肝上皮細胞がin vivoで肝細胞に分化したと考えられた。(2)幹様細胞をコラーゲンゲルとともに移植した無アルブミンラットにおいて、移植後10週目から血清アルブミン量の増加を認め、移植後25週目まで維持されていた。また、コラーゲンスポンジを用いた場合も同様の結果が得られた。なお、対照群では、経時的な血清アルブミン量の増加は認められなかった。(3)移植後に血清アルブミン量の増加を示した無アルブミンラットは、コラーゲンゲルを移植担体に用いた群では6匹中4匹(67%)、コラーゲンスポンジを移植担体に用いた群では14匹中8匹(57%)認められた。 以上のことから、移植した幹様細胞が生体内で分化し、肝細胞として機能することが明らかにされ、細胞移植治療の可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 寺田邦彦, 他: "肝幹細胞"Annual Review 消化器 2002. 34-39 (2002)
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[Publications] Kanzaki A, et al.: "Copper-transporting P-Type Adenosine Triphosphatase (ATP7B) Is Expressed in Human Breast Carcinoma"Jpn. J. Cancer Res.. 93・1. 70-77 (2002)
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[Publications] Kameda T, et al.: "Acceleration of the formation of cultured epithelium using the sonic hedgehog expressing feeder cells"Tissue Eng.. 7・5. 545-555 (2001)
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[Publications] Harada M, et al.: "A Mutation of Wilson's Disease Protein, ATP7B, Is Degraded in the Proteasomes and Forms Protein Aggregates"Gastroenterology. 120・4. 967-975 (2001)
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[Publications] Demitsu T, et al.: "Hypertrichosis induced by latanoprost"J. Am. Acad. Dermatol. 44・4. 721-723 (2001)
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[Publications] Ichihara T, et al.: "Resistance to fluminant hepatitis and carcinogenesis conferred by overexpression of retinoblastoma protein in mouse liver"Hepatology. 33・4. 948-955 (2001)
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[Publications] 寺田邦彦, 他: "肝臓幹細胞とその分化"肝臓. 42・8. 389-397 (2001)
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[Publications] 寺田邦彦, 他: "肝幹細胞を利用した肝組織の再構成"医学のあゆみ. 196・5. 383-386 (2001)
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[Publications] 寺田邦彦, 他: "幹細胞を用いたミニ肝臓の形成"G.I.Research. 9・3. 51-55 (2001)
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[Publications] 寺田邦彦, 他: "幹細胞を用いたミニ肝臓の形成"Molecular Mediceine. 38・1. 16-22 (2001)
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[Publications] Sugiyama T, et al.: "Reconstitution of hepatic tissue using liver stem cells. (Growth, proliferation, and apoptosis in hepatocytes (Okita K., ed.)"Springer-Verlag, Tokyo. 100 (2002)