1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11558104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (70108223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 秀昭 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (50014163)
永井 正洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (10013971)
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (50013892)
田中 茂男 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30059688)
宗田 大 東京医科歯科大学, 医学部 整形外科, 講師 (50190864)
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Keywords | 組織工学 / 再建医学 / 再生医工学 / 生体材料 / 組織誘導再生 / 骨 |
Research Abstract |
本年度は,フィラーとしてβりん酸3カルシウム,マトリックスとしてポリ乳酸,ポリグリコール酸,およびポリカプロラクトンよりなる生体吸収性膜を利用した組織誘導再生法の強化を目指し,細胞移植を併用した骨再建実験を行った.実験動物としてはビーグル犬を利用し,脛骨に実験的に設けた長さ20mmの骨欠損の再建を試みた.欠損部を骨膜を含めて離断した.骨形成能を有する組織の供給源としては,実験的に大量に採取できるとともに,将来の臨床応用も容易と考えられる頭蓋骨骨膜を利用した.生体吸収性膜により欠損部を覆うスカフォールドを作製し,その内部に自家骨膜を採取して断端間を橋渡しするとともに,スカフォールド内部は血餅で満たされるようにして埋植を行った.術後,経時的にX線観察を行うとともに,12週後に屠殺して組織を採取し,骨形成状況を観察した.その結果,スカフォールド内での骨形成は,骨膜がない場合よりも著しく加速され,術後4週には骨の形成が観察され,8週でほぼ骨がブリッジし,12週後には石灰化が進行していくことが確認された. 一方,骨伝導能を持つ生体吸収性材料をスカフォールド内に入れ,骨形成を促す実験については,ハイドロキアパタイトとタイプIアテロコラーゲンの複合材料の粒子をスカフォールド内に粗に詰めて,同様な再建実験を行った.この場合には骨膜の移植は行わなかったにもかかわらず,スカフォールド内に骨の顕著な新生が見られた.しかし膜の閉鎖が一部で破れたため,局所的に軟骨の形成も観察されたことから,骨伝導材料と細胞移植法との併用がより好ましいことが示唆された. このように組織工学的な強化方法を併用した生体組織誘導再建法は,きわめて短時間での骨形成を可能とすることが実証されつつある.
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