2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入による細胞設計と生体分子固定化による材料設計を総合した細胞培養系の構築
Project/Area Number |
11558108
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 嘉浩 徳島大学, 工学部, 教授 (40192497)
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Keywords | 遺伝子導入 / 細胞設計 / 生体分子固定化 / 材料設計 / 細胞培養系 |
Research Abstract |
今年度は、温度応答性高分子の傾斜マイクロパターン状固定化を行い、細胞の吸着・脱着について検討すると同時に生体分子のマイクロスポット固定化を行い、マルチ解析ができるようなチップの開発を目指した。また、BMPも固定化してC2C12細胞の分化を観察したが、これについては、溶解状態のBMPによる分化誘導条件を見出すことができず、固定化効果を検討するまでに至らなかった。温度応答性高分子の傾斜マイクロパターン固定化:N-イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸の共重合体にアジドアニリンを反応させ、光反応性の温度応答性高分子を得た。これを、ポリスチレン基板上に塗り、乾燥した後、光マスクで覆い、紫外線を照射した。光透過部分の光反応温度応答性高分子がマイクロパターン状に固定化された。温度応答性高分子を傾斜マイクロパターン状に固定化した基板上では高分子濃度が高い領域では細胞の接着がほとんど観察されなかった。そこで、ゼラチンとの共固定化を行った。すると細胞吸着は、高分子の固定化密度に関係なく均一に起こるようになった。そいて6時間37度で培養後、30分間10度で浸漬すると、温度応答性高分子の固定化密度の高い領域では細胞の脱着が観測された。この時の細胞と温度応答性高分子との接触面積を計算すると、細胞との10%程度の接触で、90%以上の脱着ができることから、僅かな摂動で細胞の吸着・脱着が制御できることがわかった。生体分子のマイクロスポット固定化:上述の温度応答性高分子の他に、光反応性のポリアクリル酸やポリアリルアミンを調製し、これらの水溶液を、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、上皮細胞成長因子、インシュリンのような生体分子の水溶液とともに直径500メイクロメートルほどのスポットに滴下し、乾燥した後、紫外線を照射して固定化した。このようなマルチスポットを形成し、その上で細胞を培養すると、固定化領域の性質に応じた細胞の応答が観察され、今後の固定化材料の開発にとって重要な技術とすることができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Ito, G.Chen, Y.Imanishi, T.Moruoka, E.nishida, Y.Okabayashi, M.Kasuga: "Differential control of cellular expression by diffusible and non-diffusible EGF"J Biochem. 129. 733-737 (2001)
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[Publications] Y.Ito, M.Hayashi, Y.Imanishi: "Gradient micropattern immobilization of heparin and its interaction with cells"J. Biomat. Sci., Polym. Edn.. 12. 367-378 (2001)
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[Publications] G.Chen, Y.Ito, S.Masuda, R.Sasaki: "Growth and secretion of erythropoietin of chinese hamster cary cells coexpressing epidermal growth factor receptor and erythropoictian geres-design of cells for all culture matrix-"Cyto technology. 35. 3-8 (2001)
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[Publications] G.Chen, Y.Ito: "Gradient micropattern immobilization of EGF to investigate the effect of actificial juytacrine stimulation"Biomaterials. 22. 2453-2457 (2001)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "再生医療におけるバイオ人工臓器"今日の移植. 14. 565-572 (2001)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "微細加工バイオマテリアル(バイオチップ)と細胞機能制御"バイオインダストリー. 18(10). 15-26 (2001)
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[Publications] 伊藤嘉浩: "界面ハンドブック"エス ティー エス. 1250 (2001)