1999 Fiscal Year Annual Research Report

微小循環モデルのマイクロマシーニングと血球細胞の変形・流動能の解析

Research Project

Project/Area Number	11558112
Research Category	Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
Research Institution	Keio University
Principal Investigator	南谷晴之慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	関塚永一国立埼玉病院, 内科, 臨床研究部長(研究職) 田中敏幸慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (20217053) 谷下一夫慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776) 大塩力亮友会, 大塩病院, 院長(研究職)
Keywords	微小循環 / 赤血球 / 血小板 / 血栓 / 糖尿病 / 粘弾性 / 変形能 / 原子間力顕微鏡
Research Abstract	マイクロマシーニング技術を利用して透明な石英ガラスに毛細血管、細動静脈レベルのマイクロチャネル微小血管モデルを形成し、加圧負荷により流路内に定常流を与えるin-vitro実験システムを構築した。流動赤血球の変形状態を顕微鏡下で高速度ビデオ録画し、撮像画像の画像処理により流速と変形能(パラシュート形に変形した赤血球の長軸方向と短軸方向の長さ比)を求めた。また、原子間力顕微鏡(AFN)により赤血球単体のフォースカーブを測定し、Hooke及びHertzモデルを適用して赤血球のバネ定数とヤング率を求めた。マイクロチャネル内を流動する赤血球の流速(壁ずり速度)と変形能の関係は、ずり速度が高くなるに従い、低流速域で変形度上昇、中流速域で漸増傾向を示し、高流速域では変形飽和傾向すなわち変形限界に達する。健常例に比べ糖尿病では変形能が低く、中流速域から飽和特性を示し、変形限界に達する。高脂血症の赤血球でも同様な特性を示した。ラット腸間膜微小循環を対象にしたin-vivo観測でも糖尿病赤血球の変形能は健常群に比べて有意に低下し、変形能と血糖値及びHbA1cとの間に負の相関を示し、高血糖状態の変形能は有意に低下する。また、高脂血症ではコレステロール値と変形能の間に負の相関が得られ、コレステロール化促進に伴い変形しにくくなることが認められた。AFNによる赤血球単体のバネ定数とヤング率は、硬化赤血球及び糖尿病赤血球ともに健常例より有意に高値を示し、赤血球膜の硬化あるいは赤血球実質の弾性低下が示唆された。一方、微小循環における血小板凝集、粘着、血栓形成の発生機序と血栓抑制の薬理効果を解明するために、光感受性物質とレーザ光化学反応で産生される活性酸素による血栓形成法を導入し、ラット腸間膜in-vivo実験で糖尿病群において血栓形成が早期に起こることを明らかにしている。また、活性酸素種により血小板の粘着凝集が異なる様相を呈することを明らかにした。

Research Products

(7 results)

All Other

All Publications (7 results)

[Publications] T,Nagai,E.Sekizuka,C.Oshio,H.Minamitani: "Shape analysis of red blood cell deformability with micro-channel array capillary model"Microcirculation Annual. 15・1. 43-44 (1999)
[Publications] 長尾朋和、飯尾徹、斎藤聡、山本剛、南谷晴之: "Q-switched Nd:YAG laser光励起時における光感受性物質由来の活性酸素測定"電気学会論文誌. 119A・3. 261-266 (1999)
[Publications] A.Saito,Y.Imazeki,T.Nagao,H.Minamitani: "Vascular shut down effect in photodynamic therapy-Platelet thrombus formation induced by photochemical reaction-"Microcirculation Annual. 15・1. 67-68 (1999)
[Publications] T.Kawamura,E.Sekizuka,C.Oshio,H.Minamitani: "Erythrocyte elastic properties measured by atomic force microscope"Microcirculation Annual. 15・1. 155-156 (1999)
[Publications] 塚田孝祐、南谷晴之、関塚永一、大塩力: "酸素感受性リン光プローブを用いた微小循環血管の血中酸素分圧計測"電気学会化学センサシステム研究会論文集. CS-99-34. 35-38 (1999)
[Publications] 南谷晴之、関塚永一、大塩力: "微小血管内のオプティカルフローと血流速度分布"可視化情報学会誌. 19・1. 157-160 (1999)
[Publications] 南谷晴之、関塚永一、大塩力: "生体の構造と機能を探るバイオイメージングの最先端"先端医療技術研究所・石川春律監修. 324 (1999)

1999 Fiscal Year Annual Research Report

微小循環モデルのマイクロマシーニングと血球細胞の変形・流動能の解析

Principal Investigator

南谷 晴之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)

Research Products

[Publications] T,Nagai,E.Sekizuka,C.Oshio,H.Minamitani: "Shape analysis of red blood cell deformability with micro-channel array capillary model"Microcirculation Annual. 15・1. 43-44 (1999)

[Publications] 長尾朋和、飯尾徹、斎藤聡、山本剛、南谷晴之: "Q-switched Nd:YAG laser光励起時における光感受性物質由来の活性酸素測定"電気学会論文誌. 119A・3. 261-266 (1999)

[Publications] A.Saito,Y.Imazeki,T.Nagao,H.Minamitani: "Vascular shut down effect in photodynamic therapy-Platelet thrombus formation induced by photochemical reaction-"Microcirculation Annual. 15・1. 67-68 (1999)

[Publications] T.Kawamura,E.Sekizuka,C.Oshio,H.Minamitani: "Erythrocyte elastic properties measured by atomic force microscope"Microcirculation Annual. 15・1. 155-156 (1999)

[Publications] 塚田孝祐、南谷晴之、関塚永一、大塩力: "酸素感受性リン光プローブを用いた微小循環血管の血中酸素分圧計測"電気学会化学センサシステム研究会論文集. CS-99-34. 35-38 (1999)

[Publications] 南谷晴之、関塚永一、大塩力: "微小血管内のオプティカルフローと血流速度分布"可視化情報学会誌. 19・1. 157-160 (1999)

[Publications] 南谷晴之、関塚永一、大塩力: "生体の構造と機能を探るバイオイメージングの最先端"先端医療技術研究所・石川春律監修. 324 (1999)

南谷晴之慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)