2000 Fiscal Year Annual Research Report
レーザマニピュレーション技術を応用した培養細胞への刺激負荷と応答解析
Project/Area Number |
11558116
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Research Institution | Kawasaki College of Allied Health Professions |
Principal Investigator |
片岡 則之 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 講師 (20250681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 文彦 岡山大学, 医学部, 教授 (70029114)
望月 精一 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (60259596)
後藤 真己 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 教授 (50148699)
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
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Keywords | レーザマニピュレーション / 培養細胞 / 力学刺激 / 細胞応答機構 |
Research Abstract |
研究実施2年目である本年度は、昨年度構築した細胞マイクロマニピュレーションシステムを用いて、培養内皮細胞に力学刺激負荷を行い、細胞の応答を解析した。直径35mmのガラスボトムディッシュ上に培養したウシ大動脈由来培養内皮細胞を、カルシウムイオンの蛍光指示薬Calcium Green(10μM;Molecular Probe)で40分間処理した後、顕微鏡ステージ用インキュベートシステム内に設置した。2つのレーザーをそれぞれ別の細胞の核近傍に集光した後にレーザーのシャッターを閉じ、共焦点レーザースキャンユニットで蛍光画像の走査を開始した。画像はカラーCCDカメラを通して、1秒毎にコンピューターに記録した。画像を撮り始めて10秒後に2つのレーザーのシャッターを開いて内皮細胞に照射し、さらに20秒後に一方のレーザー集光位置を5μm程度移動させた。得られた画像から、画像解析ソフトを用いて毎秒ごと、各細胞について蛍光強度を測定した。その結果、刺激を負荷した内皮細胞で細胞内カルシウムイオン濃度上昇が観察され、さらにその周辺へのカルシウムイオンの伝搬も見られた。この結果は、細胞小器官を捕捉、移動させることによって、生じる細胞内の微少なひずみに内皮細胞が応答してカルシウムイオン濃度の上昇が起こったものと推測される。また、カルシウムイオン伝搬には複数のパターンが観察され、内皮細胞間の情報伝達経路が大きく関与しているものと思われた。今後、細胞間に存在するギャップジャンクションの分布との関連性を詳細に検討する必要がある。 本装置を用いることによって、非接触で培養細胞に力学刺激を負荷することが可能となり、また、共焦点レーザースキャンユニットとの複合化によって分子・タンパクレベルの細胞応答を捉えることが可能となった。
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[Publications] 梶谷文彦,片岡則之: "レオロジー因子と心疾患"臨床成人病. 30・2. 227-232 (2000)
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[Publications] M.Sato,N.Kataoka,K.Hashimoto,M.Imamura: "Mechanical stress and actin filament dynamics in cultured endothelial cell"Tissue Engineering for Therapeutic Use. 4. 121-130 (2001)
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[Publications] 望月精一,Piter Sipkema,片岡則之,後藤真己,武本麻美,梶谷文彦: "外因性NOによる流れ依存性NO生成の抑制-テトラヒドロビオプテリンの関与-"脈管学. 41・2. 117-121 (2001)
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[Publications] 片岡則之,望月精一,小笠原康夫,梶谷文彦: "レーザーピンセットを利用したマニピュレートシステムによる力学刺激負荷に対する培養内皮細胞の応答解析"第13回バイオエンジニアリング講演会講演論文集. 164-165 (2001)
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[Publications] 梶谷文彦,望月精一,松本健志,片岡則之: "バイオミメティックスハンドブック(第3章、第3節 バイオレオロジー)"エヌ・ティー・エス. 1250 (2000)