Research Abstract |
1.数100の英単語をマスターするのに要する時間の予測 英単語を数ヶ月間継続して学習した場合に,その学習到達度の自己評定値が,学習量に対して上昇していくこと,更に,その上昇率に大きな個人差が認められることが明らかになっている.本年度,数100の英単語をマスターするのに要する期間の予測を試みた結果,1ヶ月に1〜8回の学習を1ヶ月ごとに続けていった場合,平均約14ヶ月勉強することにより,完璧なレベルに到達できること,およびこの予測は個人ごとに可能であることが明らかになった. 2.成績上昇率の個人差と学習時間の関係 両者の関係を検討した結果,1つの英単語の学習に要した正味の時間数と個人の到達度評定の上昇率が相関することが明らかになった.つまり,個人差の一つの要因として,学習時間があげられることが明確になった.これより,学習時間を指標にすることで英単語を完璧にマスターするために要する期間を更に厳密に予測できる可能性が出てきた. 3.英単語データベースの作成と協力体制の確立 来年度開始予定の本実験では,市販の英単語データベースを用いて単語を抽出し,実験を実施する予定であったが,得られる実験データの分析により単語ごとに成績の上昇を描き出せることが新たに明らかとなり,そのデータを一般に公開する必要性が予想された.その場合,市販の英単語データベースを用いると著作権の問題が生じ公開が難しくなる問題が新たに出てきた.そこで,「公開を前提とした」独自の英単語データベースを作成することを決定し,そのために,市販の単語データベースのうち複数で採り上げられている英単語約2000語と意味について,国立大学の1,2年生に評定してもらい,国立大学の1,2年生がよく知っている単語,および重要と考えられる意味を特定し,それを新たなデータベースとして実験に用いることにし,その調査を開始した.なお,評定項目の増加と評定者の増加から,本実験の開始時期が当初より2,3ヶ月ほど遅れることになった. なお,長野県飯田高等学校と岡山県立芳泉高等学校に協力の内諾を得て,協力体制を整えている.
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