1999 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー共鳴イオン化法による超低速ミュオンの開発とその応用
Project/Area Number |
11559019
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三宅 康博 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (80209882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 樟生 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (50164611)
下村 浩一郎 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (60242103)
永嶺 謙忠 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (50010947)
パトリックス ストラッサー 理化学研究所, ミュオン科学, 契約研究員
松田 恭幸 理化学研究所, ミュオン科学, 研究員
|
Keywords | ミュオン / 偏極 / スピン / 超低速ミュオン / 物性 / 水素原子 / 表面 / レーザー |
Research Abstract |
正のミュオンは、寿命が2.2μsで、100%スピンが偏極しており、陽子の1/9の質量を持っている。これらの特徴を生かして、陽電子のように物性を調べるプローブとして幅広く磁性研究などに用いられている。また、H,D,Tの軽い同位体としてそれ自身の拡散や、反応性自体がおもしろい研究の対象となり得るという特徴をも兼ね備えている。加えて、μsオーダーの特異なタイムスケールで時間情報を得るというユニークな側面をも有している。従って、最近注目を浴びている表面・界面の研究、精密な原子物理の研究、触媒等水素のダイナミクスを調べる研究にも大いに貢献でき得るポテンシャルを持っていると言える。しかしながら、その為には、もっと低速で、物質表面に止まるミュオンが不可欠で、その要望は日に日に声高くなりつつある。本研究の目的は、超低速正ミュオンビームの強度を物性実験に供する事ができる程度に上げ、超低速ミュオンの特徴を生かして、物質表面界面の磁性原子スピンのダイナミクスを調べる新しい物性研究、金属表面での触媒反応における水素状原子の役割を解明する表面・界面科学研究等への新しい展開を図る事である。 現在、既存の静電四重極レンズ、静電ミラー、質量分離用磁石等のパーツを利用し、バックグランドの小さい測定を可能とするTOF測定の為の装置を組み上げて、従来の取り出し効率を2桁程度上回る3%程度を得るに至っている。こちらでの最終チェックを終わり次第、英国ラザフォード研究所に持参する。既に、OPO、TiSレーザーシステムは、英国のラザフォード研究所にある大強度ミュオン施設に搬入・据え付けが終了し、ライマンα光の生成の準備が整っている。本年6月21日からのビームタイムに向けて着々と準備が進んでいる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y. Miiyake et al.: "Therminic Emission of Mu, H, D and T from hot W"Surface Science. 433-435. 785-789 (1999)
-
[Publications] Y. Miyake et al.: "Construction of the experimental set-up for ultra slow muon generation by thermal Mu ionization method at RIKEN-RAL"Physica B. (2000)
-
[Publications] 三宅康博: "超低速ミュオンの発生法の開発と、関連して得られたタングステン表面における水素原子同位体脱離過程の研究"真空. (2000)