1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
花井 一典 北海道大学, 文学部, 助教授 (80228501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 務 北海道大学, 文学部, 助手 (10241283)
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Keywords | 西洋的思惟 / 基底範疇 / ギリシア哲学 / スコラ学 / アリストテレス / トマス・アクィナス |
Research Abstract |
本研究の目的は、西洋的思惟の基底範疇となる基本的概念の総合的な把握のための基礎資料を作成し、さらにはこれに一定の哲学的分析を与えることにある。三千年来西洋人の思考を律してきた印欧語のなかから、時代時代の思想文化の深層にあってその基底として絶えず機能してきた基礎的概念群を対象に選び、そうした概念の基本的用法を、特にわれわれ日本人の死角になりやすい意味側面に重点を置きつつ、西洋古代中世哲学文献のデータベースを駆使して整理・分析することにより、西洋思想の基本的発想を、日本語との連関を視野に入れて把握することを目指している。 初年度は、テキストの調査ならびに最近の研究状況の調査といった基礎的作業を中心に、以下のような手順で研究を進めた。まず、(1)「もの」「こと」「ある」「なる」等の基本概念とそれに関連する諸概念の、西洋古代中世哲学の文献の中での現れ方を、『アリストテレス全集』、『キリスト教著作家全集』、『トマス・アクィナス全集』等のテキストのCD-ROM版を利用して整理し、インデックスを作成した。またこれと平行して、花井が国内外の関係文献を調査して近年の動向を見定めた。さらに、(2)集められたデータをもとに、中澤がギリシア哲学研究の立場からギリシア哲学の基本概念の成立過程を調査・考察すると共に、そうした概念の西洋文化への歴史的影響についても調査を行なった。具体的には、これらの概念がギリシア哲学の基本的枠組の中で果たしている役割をまとめ、さらに、その基本概念が中世の哲学者達によってどのように理解され、受け入れられていったかを主要な哲学者について調査しまとめた。また、花井は、中世哲学における基本概念の役割に関して総合的な考察を行なった。
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