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2001 Fiscal Year Annual Research Report

トラウマと歴史-ホロコーストの記憶の精神分析学的解釈と歴史哲学

Research Project

Project/Area Number 11610003
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

高橋 哲哉  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60171500)

Keywordsトラウマ / 記憶 / 歴史哲学 / 否定論 / 記憶の責務 / 抑圧されたものの回帰 / ポストコロニアル / ショアー
Research Abstract

本研究は、ホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大虐殺)を素材として、歴史の中のトラウマ(心的外傷)の作用を精神分析理論の観点から分析し、歴史哲学・社会哲学に新たな地平を拓こうとした。具体的成果として3点を挙げる。1)ホロコーストの証言映画『ショアー』の解釈をめぐるS・フェルマンとD・ラカプラの対立を分析し、トラウマ的記憶からの回復において、行動化(アクティング・アウト)と徹底操作(ワーキング・スルー)とはラカプラの主張するように矛盾するものではなく、行動化が避けられるべきものでもなく、フロイトの理論を参照しても、「ショアー」の証言分析からしても、「行動化から徹底操作へ」という一連のプロセスとして捉えられるべきことを明らかにした。2)この結果を原理論として、フランスで「ヴィシー・シンドローム」と呼ばれるホロコーストの社会的記憶をめぐって生じた「記憶の責務」(ドゥヴォワール・ドゥ・メモワール)論争を分析した。その結果、被害者側のユダヤ人からも「記憶の責務」論への批判が出るのは、「記憶の責務」を語り続けるかぎり、ユダヤ人が「永遠の受難者」として「喪」の状態に閉じ込められてしまう逆説によることを解明した。3)フランスにおいてヴィシー政府の責任が90年代半ばに公的に認知された結果、「ヴィシー・シンドローム」に一応の快癒がもたらされたが、その過程でフランス社会のもう一つのトラウマ的記憶であるアルジェリア戦争における拷問の記憶の問題が浮上してくる。精神分析的に「抑圧されたものの回帰」と見なしうるこの現象を分析し、「ポストコロニアル」といわれる現代世界に取り付いたこの種の問題について歴史哲学的に議論するための手がかりを得た。

  • Research Products

    (7 results)

All Other

All Publications (7 results)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "トラウマと歴史-アブラハム・ボンバの沈黙について"越境する知2-語り:つむぎだす. 161-177 (2000)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "記憶の責務と現代史教育"21世紀の子どもたちに、アウシュヴィッツをいかに教えるか. 285-311 (2000)

  • [Publications] Tetsuya Takahashi: "History and Judgement"Imagining the Past, Remembering the Future : War, Violence and Memory in Asia. 50-59 (2001)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "記憶の回帰と証言の時代"シリーズ言語態(4)記憶と記録. 9-25 (2001)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "証言不可能なもの"世界の文学(73)ホロコーストと強制収容所. 8-10 (2000)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "語り伝えよ、子供たちにに寄せて"語り伝えよ、子供たちに. (3月刊行予定). (2002)

  • [Publications] 高橋 哲哉: "歴史/修正主義"岩波書店. 121 (2001)

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Published: 2003-04-03   Modified: 2016-04-21  

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