1999 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ観念論(シェリング、ハーゲルを中心とする)における自然哲学の研究
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11610013
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
長島 隆 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40207999)
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Keywords | エッシェンマイヤー / レシュラウプ / ブラウン説(論争) / 鉱物有機体 / 普遍的有機体 / 分極性 / 思弁的物理学 / ガルヴァニスムス |
Research Abstract |
今年度は資料の整理とチェックを中心にして、それに基づいて資料収集を行うことを課題とした。第1に、シェリングとエッシェンマイヤーとの関係を両者の往復書簡から整理し直し、その関係とシェリングの自然哲学の展開の方向を確定する作業を行った。この成果は現在両者の往復書簡の分類表を付けて発表する準備をしている。第2に、有機体論に関わる問題として、レシュラウプの「ブラウン説論争」に関する異論の整理を配置し直し、その議論からブラウン説論争とシェリングの関係を再検討した。この成果は今年度中に自然哲学研究会で口頭発表を行い、次年度論文としてまとめ発表する予定である。第3に、第1、第2の整理、検討の中で、有機体論の核心にある「鉱物有機体」の問題を議論として膨らませる必要が生じ、文献的にシュテフェンス(マイクロフィルム)の該当論文を収集した。 今年度の成果としては、この研究遂行のための基盤整備がなされたことである。第1に、必要文献を収集できる条件づくりのため、デンマーク王立図書館と連絡を付け、マイクロフィルムを取得した。また次年度以降取得する準備として所蔵図書館を確定することができた。これによって、次年度以降重要な文献は早めに手を打つことが出きるようになっている。第2に、2月22日から3月9日までドイツに行くが、現在手紙を出したりE-Mailを出したりして私の研究計画について説明し、協力を得ることができるようになった結果である。外国人研究者との討論、等を行うことによって共同研究の基盤が形成されること、そしてこの3年間の研究計画遂行のために協力関係を確立することを目指している。なお、発表の場の性格上謝辞は書けないが、哲学事典の「自然哲学」(原稿用紙14枚)を執筆したが、これは理論的見通しをつけるために良い機会となった。
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[Publications] 長島 隆: "エッシェンマイヤーの有機体論-カント、シェリングそしてブラウン説"自然哲学研究. 11号. 1-18 (2000)
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[Publications] 長島 隆: "ヘーゲル哲学への新視角(編者・加藤尚武)"創文社. (1999)
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[Publications] 長島 隆: "シェリング自然哲学とその周辺(編者・北沢/長島/松山)"梓出版社. 210 (2000)