1999 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動期における思想転向の意味―楊度の思想遍歴を通して
Project/Area Number |
11610018
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石川 英昭 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (90136838)
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Keywords | 楊度 / 転向 / 対話 |
Research Abstract |
本研究は、楊度(1874〜1932)の思想的変遷を解明し、所謂思想的「変節」や「転向」が個人において如何なる事態を引き起こすことになるのか、そのようにして得られる実践的「正義」が、個人的にも、社会的にも、如何なる意義を持ち得るのかという視点に立って、対話や合意によって共通の実践的価値である文脈的正義を獲得するという今日の哲学思想状況における最前線の課題に取り組むことを目的としている。 本年度当初、本研究は、楊度の経歴に関する資料の発掘、蒐集を行うことを主として、その際中国の研究者との交流を行い情報の交換をすること、次いで、対話や合意という場面における感情の役割や機能をめぐる基礎的文献を蒐集することを、年度課題として設定した。 先ず、1906年に楊度によって編集された『中国新報』の蒐集については、清末民初期刊彙編の購入により果たされた。清の憲政編査館関連の資料を探索することについては、国内(主として東京及び京都)への出張調査を行った。しかし、北京大学へ出張を行い、中国研究者と直接の情報交換を行うことについては、双方の調整が成立せず、従って次年度に延期して行うことにした。 次に、資料の整理を通じて、楊度に関する簡単な経歴表を作成した。 さらに、対話や合意の場面における感情の役割や機能をめぐる基礎的文献を蒐集した。それらの文献の知見によって、この面については或る程度見通しの立った理解が得られた。その研究成果は、本研究とは別の、従って本研究にとっては副次的という位置づけにはなるが、コミュニケーションをめぐる共同研究の報告書に収められた拙論「ディベート論」の中に提示されている。
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Research Products
(1 results)