2001 Fiscal Year Annual Research Report
社会変動期における思想転向の意味―楊度の思想遍歴を通して
Project/Area Number |
11610018
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石川 英昭 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (90136838)
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Keywords | 楊度 / 転向 |
Research Abstract |
本研究は、楊度(1874〜1932)の思想的変遷を解明し、所謂思想的「変節」や「転向」が 個人において如何なる事態を引き起こすことになるのか、そのようにして得られる実践的「正義」が、個人的にも、社会的にも、如何なる意義を持ち得るのかという視点に立って、対話や合意によって共通の実践的価値である文脈的正義を獲得するという今日の哲学思想状況における最前線の課題に取り組むことを目的とした。 本年度の研究は、前年に蒐集できなかった楊度の経歴等に関する資料の調査・蒐集の為東京・京都への出張を行い、若干の邦語文献を蒐集することができた。 さらに中国の研究者と直接交流し、現地研究者との情報交換を行うことについては、平成13年11月1日より8日まで中国に渡り、まず上海の華東政法学院にて現地研究者との情報交換を行うと共に、中国語文献資料の蒐集を行った。さらに、廈門における2001年中国法律史学会に参加して、多くの中国研究者と直接の情報交換を行った。 中国法律史学会では、さらに、対話や合意の場面における感情の役割や機能をめぐる研究の一環として、「司法と感情」という論題で研究報告を行った。この報告は中国で出版される当学会報告集に掲載される予定である(発行年は未定)。この研究報告は、本研究にとっては副次的成果という位置づけになる。 楊度の思想遍歴に関して具体的にその内容を整理することについては、資料の発見に手間取ったため論文等の形で発表することは出来なかったが、本年度の報告書にまとめたものを敷衍して、今後発表してゆく予定である。
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