2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610021
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Research Institution | SHINSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
茂木 秀淳 信州大学, 教育学部, 教授 (30157838)
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Keywords | Moksadharma / Epic / early Saamkhya / dharma / varna / moksa |
Research Abstract |
研究最終年度となる本年は、研究計画にそって以下のような作業を行った。 1.Moksadharmaの解読作業 基礎的作業としての解読は、昨年までの形式を踏襲して行ったが、目標の最終章まではいたらなかった。この作業は、近いうちに終了するつもりである。 本年度力を注いだのはMoksadharmaを資料とした論文の執筆であり、次の3点の論文を提出した。(いずれも未刊) (1)Bhuutaatman Reconsidered(立川武蔵教授還暦記念論文集) 特異な個我の概念であるbhuutaatmanの用法を分析し、意味の変遷について考察した。 (2)Asita Devala, A Saamkhya teacher (Halbfass教授追悼論文集) Asita Devalaに帰せられる教義を考察して、Asita Devalaとサーンキヤ学説との関連を論じた。 (3)Paraazara仙の教説 Paraazaraに帰せられるダルマについての教説を考察して、その内容と構成を論じた。 2.報告書で取り上げた課題 サーンキヤ学派の諸概念がどのような背景をもつかを理解することは、同学派の思想をより詳細に理解する上で必要である。ここではサーンキヤ学派の認める内的器官(buddhi, ahamkaara, manas)とそれと同義的な語(citta, cetas, hydaya)の用例を網羅的にとりあげ、いかなる語と関連して用いられているかを提示した。 3.関係資料の収集、情報収集 昨年までに、ジャイナ、仏教、法典類の基本的資料はおおむね収集した。本年度はEpicの語法に関連する資料の収集に努め、十分とは言えないが、いくつかの重要な論文を収集し読むことができた。この分野についての知識の欠如を痛感したので、今後もこの分野の資料収集を継続したい。 今年度も、インド思想に関連する学会に参加することができ、内外の研究者との情報交換を行うことができたのは、有意義であった。
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