2001 Fiscal Year Annual Research Report
マヤ・カトリック社会の時間・空間感覚と社会構造の分析
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11610030
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
中別府 温和 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (00155805)
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Keywords | カトリック / マヤ / 系譜史料 / 擬制的親子関係 / 洗礼 / 親族構造 / インディオ / メスティーソ |
Research Abstract |
本年度は、マニの系譜資料と親族構造に関するデータ3000項目を分析した。マヤカトリック村落における村落および集団の基本構造を抽出することがその主な目的である。具体的な研究方法は、教会史料にもとづいて、姓を指標として通婚の様態を考察することと、コンパドラスゴ(擬制的親子関係)の様態を分析することである。 マニには、マヤ系の姓(約81)とメスティーソ系の姓がある。マニの人々は、自分の名前に、父親の姓と母親の姓を付加するのが通例である。そこで、教会に記録された人名史料にもとづいて、結婚の当事者がそれぞれマヤ系かメスティーソ系かを割り出した。また、その作業を洗礼、堅信、15歳の祝いの擬制的親に関する資料についても行った。その結果、マヤ系内での結婚とメスティーソ系内結婚の傾向が見い出された。マヤ系の人々の村落内での居住地域はメスティーソと異なること、また、かれらが村落の祝祭を16世紀以来引き受けてきている主体であること、が従来の研究で取り出されてきた。それらに今回の調査結果を加えると、土着のマヤ的因子とスペイン的因子を合わせ持つカトリック村落の社会構造の動態の一側面が明らかになる。 マニでは、コンパドラスゴという擬制的血縁集団と現実の血縁集団が重なっている。信仰にもとづくこの擬制的親子関係は、母方の親族集団も父方の親族集団も、また、先妻の親族も後妻の親族も、さらに広範な友人集団も、強い社会経済的および情緒的結びつきのなかに統合している。また、今回の調査によって、コンパドラスゴ関係にあるカトリックの間では、性的関係が排除されていること、この慣習に違犯したものは村落には住めないこと、などが新たに取り出された。
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[Publications] 中別府温和: "Some Aspects of Social Structure of a Mayanyucatecan Catholic Community, Mani"Bulletin of Miyazaki Municipal University. Vol.9 No.1. 137-152 (2002)
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[Publications] 中別府温和: "時間および空間感覚研究序論(3)"宮崎公立大学紀要. Vol.9 No.1. 153-168 (2002)