1999 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ・エシックスの観点から見た、モラルの成立条件に関する研究
Project/Area Number |
11610036
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
越智 貢 広島大学, 文学部, 教授 (00152512)
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Keywords | モラルの変容 / 情報倫理 / 情報モラル / コンピュータ・エシックス |
Research Abstract |
今年度の研究は、当初の研究目的のうち、第1番目の目的(「伝統的倫理学におけるモラルの位置付けとコンピュータ・エシックスにおけるモラルの位置付けとの相違点」)と第2番目の目的(「現実世界のコミュニケーション形態とコンピュータ・コミュニケーションの形態との比較」)を追究することにあった。 研究代表者は、これらの目的を「情報モラル」の教育という場面で考察した.その成果は、論文としては、「情報モラルの教育」(編著『情報倫理学-ネットワーク社会のエチカ』ナカニシヤ出版、近刊)ならびに「自由の現在」(上廣倫理財団編『現代日本人の生き方』調査報告書、近刊)など、また口頭発表としては、「情報モラル教育の可能性」(シンポジウム「電子ネットワーク社会を生きる-倫理・システム教育の観点から」同志社大学)や「情報モラルと教育」(99インターネットと教育フォーラム)などである。また「情報倫理と教育フォーラム」では第4部の「情報倫理教育のあるべき姿」をコーディネーターとして主催し、そこで電子ネットワークにおけるモラルの問題点を討議した。 これらの研究成果の中で明らかにされたのは、コンピュータ・エシックスにおけるモラルが、行為の水準で設定されており、伝統的論理学で前提にされている行為者の水準がほとんど考慮されていない点である。この点で、情報モラルは行為の規則の体系として性格付けることができるが、ここには、大きな問題があるように思われる。研究代表者は、これらの成果とそこで見出された問題に基づいて、来年度の研究目標すなわち「種種のガイドラインでのモラルの分析と現実世界のモラルの対比」に着手する予定である。
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[Publications] 越智 貢: "行為知の復権"道徳と特別活動. 16(5). 4-7 (1999)
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[Publications] 越智 貢: "自由の現在"上廣倫理財団締『現代日本人の生き方調査報告書』. (印刷中). (2000)
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[Publications] 越智,水谷,土屋編: "情報倫理学-電子ネットワーク社会のエチカ"ナカニシヤ出版(印刷中). 300 (2000)
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[Publications] 押谷編(越智貢分担執筆): "道徳・特別活動-重要用語300の基礎知識(印刷中)"明治図書(印刷中). (2000)