1999 Fiscal Year Annual Research Report
ナショナリズムと近世儒教-「自国意識」をめぐる日朝比較思想史研究
Project/Area Number |
11610044
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
樋口 浩造 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (30243140)
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Keywords | 朝鮮朱子学 / 壇君 / 山崎闇斎学派 / ナショナリズム / 元禄・享保 / 自国意識 / 垂加神道 / 儒教 |
Research Abstract |
本年度は、朝鮮朱子学関係の一次資料の入手しやすいものを特定し収集すること、また、朝鮮朱子学関連の研究史を、壇君や華夷思想を中心に収集・検討した。予想通りとも言えるが、朝鮮朱子学をめぐる議論は旧来の手法のままに相当の蓄積があり、かつ植民地支配への問題意識を踏まえたナショナルな朝鮮史研究は、本研究の視点とは異なるものである。そうした中で、日朝の比較思想史的研究はほとんどないことが明らかになると同時に、壇君をめぐる議論は入り組んで非常に困難なことが明らかになってきた。一方日本の儒教のナショナルな再編については、基礎的な資料の収集を地道に行なうことができた。元禄・享保期の自国意識の広がりは、資料的にほぼ見通しがついたし、元禄・享保期への近代からのナショナルな呼び出し(すなわち近代ナショナリズムと近世の自国意識との齟齬の問題)については、「武士道」をめぐって成果を出す準備が整いつつある。来年度は、山崎闇斎学派を軸に江戸から近代までを見通す作業を中心に研究を行いたい。特に、元禄・享保期の自国意識についてはまとめに入りたい。朝鮮朱子学に関しては資料の収集を継続し、また一方で、近代ナショナリズムの問題への視点を深めるための研究も併行したい。
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Research Products
(1 results)