1999 Fiscal Year Annual Research Report
音楽のナショナリズム:中欧各国におけるその現象形態
Project/Area Number |
11610049
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
伊東 信宏 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (20221773)
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Keywords | ロマ(ジプシー)の音楽 / クレズマー / エネスク / バルトーク / 楽師 |
Research Abstract |
本研究が対象とするのは、バルトーク、エネスク、ヤナーチェク、シマノフスキなど、今世紀初頭に活躍した中欧各国の作曲家たちによる作品と、その音楽活動である。本課題では、それをA:各作曲家の「民謡」との具体的関わりについての検討、B:彼らの民謡編曲作品についての検討、の二点について、研究を進めている。 具体的には、まず、基礎的な文献資料、録音資料、楽譜などについて情報を集め、実際の入手につとめた。本年度は、その研究の過程で、これらの作曲家たちの共通のバックボーンとなった民俗的器楽の伝統、具体的にはロマ(ジプシー)やユダヤのクレズマー達の音楽の重要性について認識を新たにし、文献資料、音響資料を収集した。これらについては、現在その内容を検討中で、来年度以降も引き続き資料の収集、検討を行いたいと考えている。 また、平成11年12月には、ハンガリー、ルーマニアを訪れ、現地の研究者に研究についてレビューを受け、また資料提供について協力を依頼した。具体的な訪問先は、ブダペストのリスト音楽院図書館、およびブカレストの農村博物館およびブカレスト音楽院、さらにヤーシ民族学博物館などである。ここでは特に、ハンガリー出身のバルトークと、ルーマニア出身のエネスクについて、資料状況の把握につとめた。 現在、これらについて中規模の論文を執筆中で、これは『民族』と題された論集に掲載される予定である。
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