2000 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀中葉のニューヨーク近代美術館の活動とその美学的意義
Project/Area Number |
11610053
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
村山 康男 多摩美術大学, 美術学部・芸術学科, 教授 (40190938)
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Keywords | ドロシー・ミラー / フランク・オハラ / エズラ・パウンド / 抽象表現主義 / ジャクソン・ポロック / ロスコー / 1950年代 / ニューヨーク |
Research Abstract |
本年度はドロシー・ミラーに関しては、15Americans 1952,12Americans 1956,の2展覧会のカタログと展覧会評の分析、その背景としての1950年代アメリカ美術の情況や美学思想、更には社会状況との連関を探ることを目標とした。 この2展覧会は後に抽象表現主義と呼ばれる重要な作家を中心的に取り上げたもので、ミラーの学芸員としての慧眼を証するものとなった。その仕上げを行ったのが、同僚のフランク・オハラである。海外での巡回展の担当者であったオハラは、ミラーと協議しながら、1958年から翌年にかけヨーロッパ主要都市で、抽象表現主義の作家を紹介する2つの展覧会、「J・ポロック回顧展」と「アメリカ新絵画展」を組織する。この2つの展覧会を堺として現代美術の中心はパリからニューヨークに移行するのである。 このオハラの2展覧会と先述のミラーの2展覧会を関連づけることが本年度の課題であった。日本での研究でその目的はほぼ果たせたと言い得る。 夏期休暇には渡米したが、ニューヨーク近代美術館資料室がストライキのため、そこでの調査は不可能となった。そこでニューヨーク・パブリック・ライブラリーを中心に、1950年代のアメリカ文化関連文献の研究を主として行った。また、イエール大学バイネッケ稀覯本図書室で、20世紀アメリカの最大の詩人エズラ・パウンドの資料収集を行うこともできた。 4年間に亘る研究なので、研究成果は最終年度の研究を終えた後に総合的な視点から研究成果をまとめる。今年度に関しては、1950年代のニューヨーク近代美術館の活動とアメリカ文化を幅広く研究したが、それを特定の研究成果としてまとめることは避け、さらに幅広い視点の構築を行っていく。
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