1999 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータ利用による文様分析法の確立と我が国5〜13世紀文様史の時代区分
Project/Area Number |
11610063
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
山本 健治 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (30309372)
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Keywords | 装飾 / 文様 / 装飾空間 / 単位文様 / 文様構成法 / 法隆寺 / 釈迦三尊像脇侍 / 光背 |
Research Abstract |
本年度は基礎データベースの作成を中心課題とした。基礎データベース作成にあたっては、従来のモティーフ別の作例収集でなく、文様により装飾される対象の用途別データ収集とした。これは、文様史の中心課題は、装飾空間に対して文様がいかに造形化(布置構成)されるかの分析であるべきと考え、従来のモティーフ別個別文様の収集よりは、装飾空間の類似性のなかで作例収集をおこなうことを課題としたからである。 用途別作例収集の基本項目としては、鞍金具文様・杏葉文様・武具文様・光背文様・宝冠文様・仏象装飾文犠・台座文様・天蓋文様・幡文様・建築金具文様など25項目を設定し、各基本項目のなかでそれぞれ作例別小項目5〜30を設定している。(例:光背文様では舟形光背・頭光などの形式別項目。宝冠文様では山形冠・三山冠・三面頭飾などの形式別項目。幡文様・建築金具文様では方形・横帯状・縦帯状などの形式別項目。) 個別の作例においては、文様により装飾される場がいかに空間分割されているかの分析をベースとし、そこにどのような単位文様が、どのように組み合わされて構成されるかを分析せねばならない。こうした装飾空間の分割法と、個別文様の組合せ構成法の具体的分析作業例として、本年度は法隆寺金堂釈迦三尊像脇侍両光背の分析を試みた。従来より両光背の造形的な相違は指摘されていたが、印象論の域をでなかった。そこで小論では、コンピュータにより、光背全体の構成比較・文様帯内部の空間分割・文様帯内部の単位文様とその組合せ・両光背の相対する文様ユニットにおける造形性の比較などをおこなうことにより、両光背文様の具体的な造形的相違を実証した。この作業プロセスは、コンピュータ利用による文様分析法の一例でもある。
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