2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610066
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Research Institution | Nihonbashi Gakkan University |
Principal Investigator |
塩澤 寛樹 日本橋学館大学, 人文経営学部, 講師 (60162567)
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Keywords | 鎌倉彫刻 / 鎌倉幕府 / 北条氏 / 得宗領 / 建長寺 |
Research Abstract |
平成14年度は、研究全体のとりまとめを意識しつつ、重要と思われる作例について、基礎資料を作成するための現地調査及び文献史料調査を並行して行った。本年度に調査を行った作例は、神奈川・正眼寺地蔵菩薩立像、栃木・西明寺千手観音立像、兵庫・最明寺北条時頼坐像、神奈川・建長寺地蔵菩薩坐像、などである。調査においては、調書、写真などの基礎資料の収集に努めた。 次に、新知見を中心に本年度の成果を記す。神奈川・正眼寺地蔵菩薩立像は、像内納入の刷仏の銘記から康元元年(1256)頃に法橋康信が制作したと考えられてきたが、像の作風や康信についての検討から、十三世紀中葉に鎌倉で幕府に重用された「鎌倉派仏所」とも呼ぶべき仏所の作例の典型と考えられるに至った。同様に、神奈川・建長寺地蔵菩薩坐像、栃木・西明寺千手観音立像もその仏所の作例と判断されたが、後者は得宗領の拡大に伴って「鎌倉派仏所」の手になる作例が鎌倉近辺に留まらず、各地へ広がりをみせていたことを示す一例と考えられる。以上の成果は、裏面記載の「鎌倉・建長寺千手観音坐像と『鎌倉派仏所』」の中で、成果として言及した。また、兵庫・最明寺北条時頼坐像は、鎌倉期に遡る時頼の貴重な作例であることは確認され、その背景に最明寺の建つ佐用荘の時頼時代における得宗領化ないしは関東御領化とかかわる可能性が浮かび上がった。同時に、北条時頼像は本像を含めて何体かが知られており、相互の比較やそれらの背景などの研究を行っている。 昨年度より行ってきた個別作例研究の成果としては、今年度は裏面の五本を刊行することが出来、早期の成果発表に務めた。 さらに、研究の最終的とりまとめに向け、全体像の構築や視点についても検討を続けている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 塩澤寛樹: "美濃・願興寺の阿弥陀如来坐像及び釈迦三尊について"仏教芸術. 263. 26-43 (2002)
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[Publications] 塩澤寛樹: "寶城坊蔵 薬師如来坐像"國華. 1287. 33-35 (2003)
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[Publications] 塩澤寛樹: "寶樹院蔵 阿弥陀三尊像"國華. 1287. 35-37 (2003)
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[Publications] 塩澤寛樹: "鎌倉・建長寺千手観音坐像と『鎌倉派仏所』"神奈川県立歴史博物館研究報告 総合研究. 1-18 (2003)
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[Publications] 塩澤寛樹: "鎌倉時代の造像と社会についての一考察"芸術学. 5. 39-54 (2003)