2000 Fiscal Year Annual Research Report
海馬シータ波発現における中隔-海馬コリナージック・システムの役割
Project/Area Number |
11610085
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
亀谷 秀樹 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (20167349)
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Keywords | 海馬 / シータ波 / 睡眠-覚醒 / アセチルコリン / HPLC / マイクロダイアリシス / ラット |
Research Abstract |
動物が探索行動や定位反応を示したり、レム睡眠の状態にある時、海馬において特徴的な6-8Hzのシータ波が観察される。これを、海馬シータ波あるいはRSA(rhythmic slow wave)といい、海馬が情報処理モードにあることを示している。本研究においては、自由行動中のラットの海馬における電気活動を記録するとともに、脳内微小透析法(マイクロダイアリシス)によって海馬アセチルコリンを定量し、シータ波とアセチルコリン遊離量の関係を解析することにより、海馬シータ波発現機構における中隔-海馬コリナージック・システムの役割について検討する。 昨年度は、超高感度HPLCを用いて、エゼリン・フリー下でラット海馬から遊離したアセチルコリンを定量できることが明らかになった。そこで、本年度は、自由行動中のラットの脳波を記録しながら、マイクロダイアリシス・サンプリングを行い、脳波とアセチルコリン遊離量との対応について解析した。その結果、次の知見を得た。 (1)徐波睡眠時と比較して、シータ波が顕著なレム睡眠時には、海馬アセチルコリン遊離量が著しく増大した(400-500%)。 (2)速波が観察される覚醒時においても、アセチルコリン遊離量は増大した(300-500%)。 (3)覚醒時の行動とアセチルコリン遊離量との関係を詳しく解析すると、覚醒安静状態<グルーミング・摂食飲水行動<探索行動の順に、アセチルコリン遊離量が増大した。 これらの知見に基づき、今後、とくに覚醒時の脳波・行動と海馬アセチルコリン遊離量との関係について解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)