Research Abstract |
本年度は,ヒト成人,乳児,およびチンパンジーを対象とした,visual orientingの実験的分析,そして,ヒューマノイドロボットの開発にあわせて実験計画を立案することに主眼を置いた. 板倉担当分:他者の視線を知覚し,その注意の方向を認識することは,マインド・リーディングにおいて重要であるとされる.まず,大分県立看護科学大学において,成人および乳児を対象に実験をおこなった.また,三和化学研究所熊本霊長類パークにおいてチンパンジーを対象に実験をおこなった. 基本的な手続はヒト,チンパンジーいずれにおいても同じであったが,ヒトでは刺激呈示用装置として,コンピューターを,またチンパンジーでは刺激呈示パネルを用いた.刺激は,中央に手がかり刺激,その両サイドに同一のターゲット刺激を呈示した.手がかり刺激としては,眼球の位置が左右に移動している顔様の線画,顔写真,矢印,などを使用し,その刺激が示す方向と同じ方向に被験者もしくは被験体の注意シフトが生起するかどうかが,眼球の動きを同定することによって調べた.その結果,程度の差はあるが,いずれの刺激に対しても,ヒト成人,乳児およびチンパンジーは,注意のシフトを示した.中でも,矢印に対していずれの被験者,被験体とももっとも強くシフト反応が引き出されたのは興味深い. 國吉担当分:電子技術総合研究所において,ヒューマノイドロボットの上半身システム完成し,視聴覚を通した人間への定位反応と動作模倣反応の基礎実験を行った.ロボット下半身システムの製作も進行中である.
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