2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610087
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
小山 高正 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20143703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 恵治 国立感染症研究所, 筑波霊長類センター, センター長 (30109920)
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Keywords | WGTA / 指迷路 / 老齢 / マカクザル / 認知機能 / 測定法 / 簡便化 / 行動観察 |
Research Abstract |
(1)WGTAをもちいて老齢ザルの記憶方略を検証する(結果と考察) (1)問題1:老齢ザルは、課題解決場面でどうして固執傾向があるのか。 問題2:老齢ザルは、位置再認課題で身体的定位が使えない場合にどのように反応するのか。 (2)問題1を探るために、老齢ザルが既得ル-ルを応用できないのは固執傾向以外の要因によると仮定し、逆転課題のみでなく、固執の要因の除外した連続転移課題を用いて、位置再認の学習セットを検討した。 問題2を探るために、位置による遅延非見本合わせ課題を基本にしたテスト課題(見本刺激に対する反応刺激の位置を操作した条件)を課し、見本刺激に対する反応刺激の位置の近接と方向の効果を調べた。 (3)結果は以下のとおりである。 (a)両群とも転移課題を重ねるにしたがって課題獲得に要する試行数は減少したが、老齢群の学習セットの獲得は、若齢群よりも遅かった。転移課題において老齢ザルの顕著な成績の低下が確認されたということは、既得ルールの応用を困難にしているのは固執傾向だけではないことを明らかにした。 (b)老若両年齢群で、反応刺激の位置が見本刺激に近接するほど、再認の成績は低下した。老齢ザルと若齢ザルは、いずれも反応すべき刺激の位置を展望的に符号化していることが示唆された。反応刺激の位置が基本課題とは反対の方向に呈示されると(すなわち行動方略が無効になる事態では)、老齢群のみ再認の成績が低下した。老齢ザルの位置再認は、身体的な定位行動/展望的な符号化という、行動・認知方略に依存しており、それを使用できたばあいのみ、若齢ザルと同程度の再認が可能であることが示唆された。 (2)改良型指迷路課題をもちいた空間認知能力テスト(結果と考察) エラーボックス付きの4段指迷路課題について被験体数を増やしたところ、ステップがあがるに従って、老齢ザルの成績が統計的に有意に低下し、この課題が高次脳機能の低下を検出するのに有効な手段であることが示唆された。早い段階で、WGTA成績との比較、脳血流量の変化との比較について検討を進めることが望まれる。
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[Publications] 久保南海子, 小山高正, 他5名: "老齢ザルと若齢ザルにおける位置再認課題での位置偏好反応の検討"動物心理学研究. 51(1). 11-18 (2001)
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[Publications] Kubo, N., Koyama, T., et al.: "Behavioral compensations in a positional learning and memory task by aged monkeys"Behavioral Processes. 56(1). 15-22 (2001)
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[Publications] 小山高正: "社会的知能の進化"『社会性の比較発達心理学』(岡野恒也監修、牧野他編著). 65-78 (2001)
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[Publications] 久保南海子, 小山高正: "老齢ザルの位置再認におけるprospective codingの検討"動物心理学研究. 51(2). 87-87 (2001)
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[Publications] 久保南海子, 小山高正: "老齢ザルにおける位置再認の学習セットの検討"日本心理学会第65回大会発表論文集. 373-373 (2001)