1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610094
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
佐久間 尚子 財団法人 東京都老人総合研究所, 言語認知部門, 助手 (70152163)
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Keywords | 健常老化 / 言語 / 語想起 / カテゴリー / 人名 |
Research Abstract |
人は生涯に膨大な単語の知識を貯える一方、人生後半になると加齢にともない単語を検索し生成する能力が低下する。特に、人名などの固有名詞が思い出しにくくなると言われている。本研究は、一定時間内にたくさん言葉を想起し再生させる課題、「語想起課題」を用いて、高齢者の語想起能力とその低下のメカニズムを検討することを目的とする。 これまでに、健常高齢者57名と若年者50名を対象に、12領域((1)音韻、(2)動物、(3)植物、(4)道具1、(5)道具2、(6)食べ物、(7)行為、(8)人工物、(9)自然現象、(10)人名、(11)地名、(12)抽象語)の各4カテゴリー、計48カテゴリーについて、各30秒間の口答再生による語想起実験を行った。これらの中から、WAIS-R短縮版による推定IQと性別をマッチさせた高齢群46名(平均年齢74歳、66-83歳、平均教育年数12.3年、平均推定IQ116)と若年群46名(平均年齢20歳、18-25歳、平均教育年数13.6年、平均推定IQ117)を選び、想起語数を比較した。全体の平均想起語数は、若年群445.8語、高齢群331.3語(若年群の約74%)であり、48カテゴリー中41カテゴリーに年代差がみられた。総じて高齢群の語想起能力は若年群より低下した。また、今回調べたカテゴリー範囲内では、若年群、高齢群ともに、地名の想起語数が最も多く、人名の想起語数が最も少なかった。特に、高齢群では、人名の想起語数が減り、若年群よりも再生開始時間が遅れ、終了時間が早くなり、人名の想起が困難になることが観察された。現在、想起語の内容と、親密度、心像性などの単語属性について分析している。今後は、被験者数を増やし、高齢前期(65-74歳)と高齢後期(75歳以上)の被験者群の成績を比較する予定である。
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Research Products
(1 results)