1999 Fiscal Year Annual Research Report
不登校児に<居場所>を提供する適応指導教室の現状と今後の展開に関する実践的研究
Project/Area Number |
11610110
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 美奈子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (20278310)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
|
Keywords | 適応指導教室 / 不登校 / 調査と実践 |
Research Abstract |
1)適応指導教室の指導員を対象とした調査 教室指導員を対象に、教室の活動方針(目的)や教育相談に対する意識、ならびに不登校の子どもと関わることによる変化・成長について尋ね、それらの項目と「教員歴」「指導員歴(=臨床歴)」との関連を調べることを目的とする調査を実施した。都心部の適応指導教室指導員186人を対象とするアンケート調査を実施した。結果は以下の通りである。教室の目的としては<学校復帰>より<心の居場所>を支持する傾向にあった。また指導員自身の変化については、子どもへの見方の変化を挙げる者が多いが、子どもに気遣ったり対応に悩んだりする者も少なくない。これら8得点の相互相関を見ると、<居場所>を支持する者には教育相談にも肯定的な認識を持ち、これまでの指導により子どもへの見方が変化したという回答が多い。一方<学校復帰>を目的と考える者は、カウンセリングを批判する傾向があり、教師がカウンセラー役を兼務することに楽観的である。また、この<兼務困難>は<Co推進>とは負、<Co批判>とは正の相関を持つことより、兼務を困難と見なす指導員の方がCoに対し批判的であることがわかる。指導員の変化については、肯定的な<見方の変化>と否定的な<気遣い>の間に正の相関があることより、教室での不登校生徒への対応経験は、プラス・マイナス両面の変化を同時にもたらすことがわかる。教師歴と指導員歴との関連より、教師歴が長いほど<学校復帰>を目的と考え、Coを批判する傾向が高まるが、一方指導員歴が長いほど<居場所>作りを目的とする傾向が強まることが示唆された。 2)実践指導:大学院生ボランティアを適応指導教室に派遣し、子どもたちの変化や職員との連携について、毎週の振り返り用紙記入と月1回のカンファレンスで討議検討した。
|