Research Abstract |
平成11年度は,分散効果の再活性化説を基に考案された,「原理1.1セッションの学習の終了毎に学習順序を再生率の低い順に並べ替える」と「原理2.再生率が一定以上になった項目を除外していく」の2原理から成る分散学習方式,Low-First方式の有効性を実験的・実践的に検証することを目的とした. 1.前半は,まず原理1だけを適用したLow-First方式と単純反復方式の学習効果を比較する基礎実験を行い,原理1の基本的有効性を確認した(日本心理学会第63回大会,日本教育心理学会第41回大会,1999).次に,原理1に原理2を加えて実験を行い,原理1と原理2を組み合わせることにより,Low-First方式が,より効果的なだけでなく,より効率的になることを明らかにした(The 2nd ICCS & the 16th JCSS,1999). 2.後半は,遠隔教育を含めた教育実践でのCAI利用に関する学生の意見を調査・因子分析し,学生が全ての尺度で極めて肯定的・積極的であることを見出した(信州大学紀要,1999;教育システム情報学会誌,2000,印刷中).そこで,個人の回答に応じて次の項目を選定・提示するしくみをCGIによって実現し,インターネットを介して利用できるLow-First方式のCAIを開発した.そして,このCAIと従来から用いてきた単純反復方式のCAIの効果を実践場面で比較し,その有効性を検証した(日本教育工学会誌,2000,印刷中). 3.年度末からは,前半に見出された問題点を基に,Low-First方式を作業記憶容量の個人差や課題の難易度の違いにも対応できるよう改良すべく種々の実験を行い,改善策を見出した(日本心理学会第64回大会,東海心理学会第49回大会,日本教育心理学会第42回総会,2000).現在は,この改善策を原理3として加えることで,Low-First方式を,より柔軟性に富んだ分散学習方式へと改良すべく検討を進めている.
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