1999 Fiscal Year Annual Research Report
役割取得能力(思いやりの心)の発達段階の向上を意図した道徳教育実践モデルの構築
Project/Area Number |
11610112
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小西 弥生 (渡邊 弥生) 静岡大学, 教育学部, 助教授 (00210956)
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Keywords | 役割取得能力 / 思いやり / 発達段階 / 道徳教育 / 道徳教育 / 社会性 / 教育実践 / 幼児・児童 |
Research Abstract |
1.協力校:幼稚園1園と小学校1校(授業は、2,4,6年)を協力校にして、新しい道徳教育実践を導入し、展開した。道徳性の基盤である「役割取得能力」についての発達理論と、これを基にセルマンによって構成されたVLF(Voices of Love and Freedom)人格プログラムについて教師に説明した。 2.具体的な手続き (1)教材を選択:「いもうとの入院」「にじいろのさかな」「にじいろのさかな一しましまをたすける」「からすたろう」の絵本は、それぞれ対人関係の葛藤を経験するうえで最適な教材として選択された。 (2)授業実践の効果を検討するために、授業の前後にほぼ同じ内容の調査を実施した。調査は、ソーシャルスキルの認知的な発達段階を測る質問紙、社会的行動についての自己評定、教師評定の3種類であった。 (3)一つの教材について4-6時限かけて4つのステップから成る授業を展開した。「結びつき」「討論」「実践」「表現」の活動であった。 3.結果と考察:抽出児の追跡、プリテストとポストテストのVLF授業を行ったクラスと行わなかったクラスの比較、同じクラスでの測度間の関係などを統計的に分析した。その結果、授業を実施したクラスの1年における社会性の変化やこの授業をしていないクラスの比較から、VLFによる効果がある程度認められた。パートナーによる実践、ロールプレイに、子どもたちが積極的に参加できたことや、日常生活の子どもたちの会話の中にこの授業のことがふれられていたという教師による観察などからも、新しいモデル授業の社会性への影響が評価できることが示唆された。この結果は、2月19日にセルマン博士を講師に招いた国際シンポジウムで発表した。
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