1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610116
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
西川 正之 帝塚山大学, 人文科学部, 教授 (30135769)
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Keywords | 援助行動 / 高齢者 / 被援助者 / 近隣社会 / 日常生活 |
Research Abstract |
今年度の研究では、2つの調査を実施し、結果を分析した。第1調査でわれわれは、高齢者が日常生活においてどのような援助を受けているかを調べるために、面接を実施した。調査では65歳以上の男女41名から552の援助エピソードを収集した。つぎにそれらの項目を整理、精錬し、26項目からなる高齢者の援助行動尺度を作成した。 第2調査では、さきに作成した高齢者への援助行動尺度を用いて、成人男女231人に質問紙調査を実施した。調査では、最近の3ヶ月において、親、親しい高齢者、あるいは知人である高齢者に対して、26の援助エピソードの各々をどの程度実際に行ったかを尋ねた。 26の援助エピソードを因子分析したところ4つの因子が抽出された。それらはそれぞれ、(1)私的事態における計画的援助、(2)公的事態における非計画的援助、(3)私的事態における計画的援助、そして(4)公的事態における非計画的援助、と名付けられた。 さらにこれら4つの因子得点で現される高齢者への援助行動経験を規定する要因を明らかにするために、援助の対象者である高齢者と被調査者との関係性(援助する相手が親、非常に親しい高齢者、あるいは知人である高齢者)、援助者である被調査者の年齢、性別、親との同居経験などを独立変数とする分散分析を行った。分析の結果、成人女性は成人男性に比べて高齢者に対してよりいっそう頻繁に援助を提供すること、内在化された社会的規範が非計画的援助をよりいっそう促進すること、そして私的援助は知人である高齢者よりも親しい高齢者へ、さらに両親へといっそう頻繁に提供されること、などが明らかにされた。
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