1999 Fiscal Year Annual Research Report
ライフスタイルとケア役割から見た成人女性のアイデンティティ発達過程に関する研究
Project/Area Number |
11610121
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 広島大学, 教育学部, 助教授 (90213991)
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Keywords | アイデンティティ / ライフスタイル / ケア役割 / 成人女性 |
Research Abstract |
【目的および方法】近年、我が国の成人女性のライフコースは多様化し、どのライフコースにおいても特有の発達的危機が存在することが示唆されている。また今日、「自分らしい生き方」-アイデンティティの模索は、青年期のみならず成人期のどのライフステージにおいても認められる。本研究初年度の平成11年度は、予備調査として、成人女性のライフスタイル・年代別に見た「自分らしい生き方」のとらえ方、およびアイデンティティ達成度、精神的充足感の関連性を検討することを目的とした質問紙調査を行った。調査対象者は、20代〜70代の女性121名である。 【結果および考察】(1)ライフスタイル・年代別に見た「自分らしい生き方」:「個としてのアイデンティティ」および「関係性・ケア役割にもとづくアイデンティティ」に関わる11項目を提示し、「自分らしい生き方」にとってどの程度重要かを評定させたところ、年代、ライフスタイルによって異なる「自分らしい生き方」の特徴が見出された。 (2)アイデンティティ達成・精神的充足感との関連性:ライフスタイルとアイデンティティ達成得点の間には、有意差は認められなかった。精神的充足感得点は、年代が高くなるにつれて、有意に高得点を示していた。また、現実と理想が一致するライフスタイルの者は、一致していない者よりも、有意に高い得点を示していた。また、SCTの分析結果より、「自分らしい生き方」を達成するために、それぞれのライフスタイル・年代に特徴的な困難さや課題があることが示唆された。 平成12年度・13年度は、回想法による面接調査を行い、「個としてのアイデンティティ」と「ケア役割にもとづくアイデンティティ」の葛藤・危機・統合のプロセスを分析する計画である。
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Research Products
(2 results)