1999 Fiscal Year Annual Research Report
相互交渉リズムと自己制御リズムの統合過程における認知系-情動系の機能的役割
Project/Area Number |
11610128
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 豊 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60238590)
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Keywords | 相互交渉リズム / 自己制御リズム / 認知系-情動系 / 感覚運動的協応 / 認知的制御 / 発達モデル / リズムの形態と構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、平成9年度および平成10年度科学研究費(奨励研究(A)課題番号09710094)において、"言葉"と"動作"の持つリズムが、(1)どのように子どもと大人の間で共有されて行くのか(相互交渉リズムの形成過程)、(2)その一方で子ども自身の中でリズミカルに統合されて行くのか(自己制御リズムの統合過程)、に関して提案された発達モデル(藤田1998)を、「認知系」と「情動系」の関係からさらに精緻化することである。具体的には、「認知系」と「情動系」が自-他間および自己内でどのような力動的関係を持って機能し、他者との課題の共有過程や子ども自身の中での行為の制御過程に影響を及ぼすのか、その発達メカニズムを明らかにすることである。今年度は、まず初めに、子どもの自己内及び大人(実験者)との間での「認知系」の機能に焦点を当て、感覚運動レベル(感覚運動的リズム課題:太鼓、跳躍)から認知レベル(認知的リズム課題:チェッカーボード、機織り)に至る動作制御のリズムを構造化し(alternation/inversion/cycleの3条件)、それぞれの課題での成績を4,5,6歳児を対象にする比較検討した。その結果、感覚運動的課題・認知的課題ともに、単純な構造の繰り返しであるal条件ほど容易に遂行可能であり、その関係を反対にしたin条件や、さらにal条件とin条件を組み合わせたcy条件になるほど課題遂行が困難になることが示唆された。そして、感覚運動的リズムと認知的リズムの発達的関係については、加齢にともない、感覚運動的課題よりも認知的課題の方が、子どもにとってのリズム構成は容易になる傾向が示唆された。現在は、次年度に向けて、自己-他者間での「情動系」の機能に焦点を当て、それが、相互交渉リズムと自己制御リズムの統合過程ならびに動作協応と動作制御の統合過程に与える影響過程について吟味するための実験デザインを計画中である。
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Research Products
(2 results)