1999 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本の思春期における定型化された自己解釈に関する実証的研究
Project/Area Number |
11610129
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
谷村 覚 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (90094458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧岡 省吾 大阪女子大学, 人文社会学部, 講師 (60264785)
井上 亮 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (30176458)
藤田 正 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (00141606)
金川 智恵 甲子園大学, 人間文化学部, 助教授 (70194884)
高橋 依子 甲子園大学, 人間文化学部, 教授 (40179544)
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Keywords | 情緒発達 / 感情分化 / 情動の認知的解釈系 / 対人視点取得 / 感情スキーマ / アンビバレンス理解 / 曖昧さへの耐性 / ムカつきキレる子ども |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従い、思春期前後の子どもたちの感情分化に関する尺度構成のための予備調査を進めてきた。 1.自己解釈のために利用可能な認知カテゴリーの多様性を検討する目的で、Hartleyの20答法(TST)により日米の高校生の自己記述を比較したところ、日本の高校生よりもアメリカの高校生のほうが記述数が多く、内容面でも性格や態度など内的特性に関する記述が多いことが知られた。現在、顕著な差異を示すカテゴリーの有無、および自己認知の構造的な差異の有無について分析中である。また年齢的変化に関しても新たなサンプルを加えて検討することを予定している。(研究実施計画(1)に対応) 2.感情解釈を含めて自己・他者理解に用いられる認知的スキーマの基本構造を明らかにするために、Selmanの対人視点取得(interpersonal perspective taking)発達理論に基づき小中学生のインタビュー・データを分析中である。小学校年齢の子どもたちは2値的判断(正-誤、好-悪、等)の認知構造をもち、対象の矛盾しあう感情価を統合することに構造的な困難さを有するとの予備的知見をえている。(研究実施計画(2)、(3)に対応) 3.対象やできごとへの自己の反応の多義性(ambiguity)の認知と精神的健康度(GoldbergのGHQ)との関係を検討する目的で、日米の大学生のデータに基づき、同一事態に対する「現実の自己(actual-self)」、「あるべき自己(should-self)」、および「ありうる自己(can-self)」の反応を比較した。その結果、日米に共通の傾向として、3者間の高い一貫性は必ずしも精神的健康と結びつかず、また非一貫性にはポジティブとネガティブの両パターンが存在することが知られた。健康度と関連の深い指標項目を分析中である。(研究実施計画(4)に対応)
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