2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本の思春期における定型化された自己解釈に関する実証的研究
Project/Area Number |
11610129
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Research Institution | Osaka Women's University |
Principal Investigator |
谷村 覚 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (90094458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 依子 甲子園大学, 人間文化学部, 教授 (40179544)
牧岡 省吾 大阪女子大学, 人文社会学部, 助教授 (60264785)
藤田 正 大阪女子大学, 人文社会学部, 教授 (00141606)
金川 智恵 甲子園大学, 人間文化学部, 助教授 (70194884)
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Keywords | 社会性の発達 / 温かい認知 / 感情スキーマ / 感情分化 / アンビバレンス理解 / 曖昧さへの耐性 / 子どもの攻撃性 / ムカつきキレる子ども |
Research Abstract |
1.前年度までの予備的調査を今年度も継続し、高校・大学生における複合感情や両価感情の理解をインタビュー調査で検討した。前年度までの結果も総合すると、中学生段階では特定状況での複合感情は理解されるが、それが特別な感情状態とみなされるのに対して、高校高学年から大学生になると、複合感情が通常であって、単一的な感情がむしろ例外的とみなされるようになることが知られた。自己解釈の複雑性を高めることが予想される複合感情の理解は中学校段階でひとまず達成されることが確認されたため、定型的自己解釈をテーマとする本研究では当初の予定通り中学校前後の年齢域に焦点をあてることとした。2.定型的自己解釈の尺度については、言語的にいくつかの社会的場面とそれへの非定型的反応を与えて(例:約束を破られて笑っている)、その考えうる理由を複数挙げさせる半投映法的課題を作成した。定型的な自己解釈傾向をもつ被験者は、反応の質、量ともに低得点となることが予想される。3.定型的自己解釈と「ムカつきキレる」反応との関係を探るために、攻撃性尺度に関する先行研究にもとづき、その複数の次元をカバーする質問項目を整理した。また親子関係が定型的自己解釈の背景要因となる可能性を検討するために、やはり先行研究にもとづき父親、母親別に過去と現在の親子関係の複数の次元をカバーする質問項目を整理した。こうして収集した質問項目について大学生を対象に予備的調査を行い、項目ごとの反応分布と項目間相関を分析して質問項目の絞り込みを行った。4.これらの尺度を組み合わせた質問紙を用いて小・中・高校生ならびに教護施設入所児を対象に本調査を予定していたが、研究分担者の疾病等諸般の事情により年度内に実施することができなかった。今後早急にこれを実施し、分析結果を報告書にまとめる。
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