1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
波多野 誼余夫 慶応義塾大学, 文学部教授 (60049575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 英嗣 大阪教育大学, 教育実践研究指導センター, 助教授 (50200415)
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Keywords | 理解活動 / 共同理解 / 共同創作 / 学級討論 / 二者関係 / 満足度 |
Research Abstract |
小学校高学年生を対象に、数学教育の分野での異分母分数の加減算、科学教育の分野での生物進化をとりあげ、学級全体での討論・議論による理解活動を検討した。このさい、それぞれの個人が、学級討論での優勢な議論をどれほどよく理解・記憶し、かつそれを自分自身の題材の理解や予測・解法の発見などの問題解決のためにどれほど利用するかという観点から分析を行った。学級討論がいかに推移したかや、そこにおける優勢な議論がどんなものだったかは、かなりよく保持されていた。また、そのような議論は、それが本人の最終的な信念と一貫するかぎり、なんらかの形で取り入れられることが多かった。同一の題材についての個人および二者関係における理解活動の詳細な分析は、現在進行中であるが、概してあまり発展せず速やかに収束する傾向が見受けられた。ただし、一部の被験児においては、分析的探査および類推による探査などの発言から理解活動の系列を推測することが可能である。 並行して、二者による共同創作(具体的にはよく知っている旋律の編曲)を通じての題材および相手の心的状態の理解の詳細な分析を行なった。この被験者は文系短大生である。彼らは、多くの場合、相手の心的状態に敏感で、このためかえって自分の提案した新鮮な着想が生かされないこともしばしば観察された。共同創作の社会的な側面については満足度が高いが、課題志向的側面については分散が大きく、また、社会的な側面についての満足度とほとんど相関していない。いいかえると、共同理解活動には、もちろん認知的、動機づけ的な促進効果がみられるが、同時にそれなりのコストが払われていることが明らかである。
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