1999 Fiscal Year Annual Research Report
説得メッセージの処理及び受容過程における感情の役割についての研究
Project/Area Number |
11610140
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
北村 英哉 東洋大学, 社会学部, 助教授 (70234284)
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Keywords | 説得 / 感情 / 情報処理方略 / ヒューリスティック的処理 / 分析的処理 / イメージ化 / 自動的処理 / 統制的処理 |
Research Abstract |
説得的メッセージの受容に及ぼす感情状態の影響について、今年度は2つの実験を行った。ポジティブ感情状態がヒューリスティック的な直感的処理、ネガティブ感情状態が分析的処理を促進するという現象についてより詳細に検討するために、ヒューリスティック的な処理がより適合するイメージ的な刺激と分析的処理がより適合する文章による刺激を用意した。イメージ的処理の内容として、画像による刺激呈示の場合と被験者が与えられた情報から自分自身でイメージ化を行う条件を設け、ポジティブ感情状態において両者のイメージ的処理がどのように促進されるか検討する実験をパソコンを用いて行った。具体的には、説得的なメッセージとして画像を用いた広告と、文章によって説得する広告刺激を作成し、画像主体の広告の場合、ポジティブ感情状態がイメージ処理を促進し、その結果広告効果が高まるかどうかを実際に画像を呈示する条件とイメージを想像させる条件を設けて検討したところ、特に自分でイメージ化する条件において、ネガティブ感情群よりもポジティブ感情群がメッセージにより影響されたという結果が得られた。また、ネガティブ感情群において文章広告の影響が大であるという結果が得られ、ネガティブ感情群が分析的、体系的な処理を行いやすいことが確認された。第2実験では、このような影響が現れる基盤をより明確化するために、自動的な視覚情報処理をしやすいターゲット検出課題と、分析的処理が必要なエラーチェックを行う課題を被験者に課し、感情群間の成績を比較した。反応時間の分析から、ポジティブ感情群は比較的自動的処理に従事しやすく、エラーチェック課題の成績では、ネガティブ群がより高い遂行を見せたことから、ネガティブ感情状態にある者が分析的でより統制的な処理過程に従事しやすいことが窺えた。この結果は一部は、2000年度の国際心理学会議において発表の予定である。
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