2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610155
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Research Institution | Ashikaga Junior College |
Principal Investigator |
沢宮 容子 足利短期大学, 幼児教育科, 講師 (60310215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 不二夫 筑波大学, 心理学系, 教授 (50015898)
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Keywords | optimism / learned helplessness / attributional style / depression / pessimism / preschool child / social skills training / social skills |
Research Abstract |
本研究の目的は、母親の楽観性と幼児の対人行動との因果関係について検討を行い、その結果を踏まえて「母親のための対人的楽観性変容プログラム」(以下、プログラムと略記)を開発、プログラムの効果を検討することである。 平成12年度は、プログラム開発の基礎研究として、楽観的な人間は自己や環境をどのようにとらえているかを明らかにするために、「楽観性」、「TST(20答法;Twenty Statements Test)の自己記述内容」(この分類指標については田辺・沢宮、1999;2000)、「うつ傾向」の三者について関連性を検討する研究を行った。その結果、楽観性の高い人間はそうでない人間と比べて、自己のネガティブな側面よりもポジティブな側面に目を向けやすく、うつ傾向の低いことが明らかになった(現在論文投稿準備中)。 ただし、「TSTの自己記述内容」と「楽観性」との関連性を検討するにあたっては、その人間が実際にいかなる性格特徴をもつかという面と、その人間が自分自身の性格をどうとらえているかという面とを、十分に分離していなかった。また、その結果からは、楽観的な人間の肯定的な自己評価が、楽観的な人間が悲観的な人間に比べて、自己の性格特性を肯定的に評価し過ぎたために生じたものか、あるいは自己の性格特性を否定的に評価しないために生じたものかが、明らかにならない。そこで、桑原(1986)の性格リスト(一つの性格特徴を表すポジティブな表現と、ネガティブな表現との対)を用い、各々の表現にどのくらい自分自身の性格が当てはまるかを判断させ、この結果と「楽観性」との関連を検討した(現在分析中)。 平成12年度は、このほか、ポジティブな出来事およびネガティブな出来事に対する評価について検討を行った(沢宮、2001)。その結果、何がネガティブで何がポジティブなのかという点に関して、文化差、個人差に配慮しつつ検討を加えること、そして今まであまり注目されなかったポジティブな出来事にも焦点を当てていくことが重要であることが示唆された。
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[Publications] 沢宮容子: "幼児が遊びに参加する際の非言語的スキルの検討"足利短期大学紀要. 20. 1-9 (2000)
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[Publications] 沢宮容子: "社会人と大学生における楽観的帰属様式の検討"足利短期大学紀要. 20. 11-17 (2000)
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[Publications] 沢宮容子: "ポジティブな出来事およびネガティブな出来事に対する評価の検討"足利短期大学紀要. 21(印刷中). (2001)