1999 Fiscal Year Annual Research Report
三重県答志島の寝屋子制度における二次的親子関係と青年期発達の特徴
Project/Area Number |
11610158
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Research Institution | Yasuda Women's College |
Principal Investigator |
澤田 英三 安田女子短期大学, 助教授 (00215914)
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Keywords | 青年期発達 / 青年宿 / 文化的発達 / 若者文化 / 従弟制度 |
Research Abstract |
本研究は、答志島の寝屋子を対象として、そこで展開している寝屋親と寝屋子との二次的親子関係の特徴と青年期発達について検討することを目的としている。本年度は、次の観点からの研究を行った。 研究1「答志島の青年宿(寝屋子制度)における二次的親子関係の特徴とその社会的機能」では、寝屋親-寝屋子関係(二次的親子関係)の実際について、青年宿への参加観察と聞き取り調査を行った。その結果、(1)漁業者の親子の場合、職業的には、青年は父親の船に同船して周辺的な仕事を手伝いながら父親から徐々に漁業技術等を学んでいく師弟関係である。(2)父親との関係が職業的師弟関係であるため、家庭生活における父親との関係も変化し、青年にとって父親は重い存在となる。(3)年齢的に青年と父親の中間にある寝屋親は、父親に対する青年の両価的な気持ちを受けとめると同時に、父親の感じているであろう気持ちも伝えることによって両者を橋渡ししている。 研究2「伝統的制度と現代若者文化のはざまに生きる青年の文化的発達」では、答志島の青年に対する聞き取り調査と、青年が活躍する行事の観察を行った。現時点では十分な資料が得られていないが、次のような発達の流れが明らかになりつつある。(1)青年は中学を卒業すると伝統的制度である寝屋子に入るが、同時に島外の高校に通い始めるために、現代の若者文化に触れる機会が多くなる。(2)高校時代は、地域活動への参加は周辺的であるので、伝統的文化への拘束力は弱いが徐々にそれに馴染んでいく仕掛けがある。(3)高校卒業後、島内で職業人として働くようになってから、青年は地域行事に対して中心的な役割を演じるようになる。(4)寝屋親になる者は青年時代に地域活動を積極的に行ってきた者が多いため、青年が参加する地域行事へ取り組む姿勢に対して寝屋親が重要な助言を与えている。
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