2000 Fiscal Year Annual Research Report
三重県答志島の寝屋子制度における二次的親子関係と青年期発達の特徴
Project/Area Number |
11610158
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Research Institution | Yasuda women's college |
Principal Investigator |
澤田 英三 安田女子短期大学, 保育科, 助教授 (00215914)
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Keywords | 青年期発達 / 青年宿 / 文化的発達 / 若者文化 / 徒弟制度 |
Research Abstract |
本研究は、答志島の寝屋子を対象として、そこで展開している寝屋親と寝屋子との二次的親子関係の特徴と青年期発達について検討することを目的としている。本年度は、次の観点からの研究を行った。 研究1「答志島の青年宿(寝屋子制度)における二次的親子関係の特徴とその社会的機能」では、特に新しく寝屋子に入る15歳の青年とそれを受け入れる寝屋親との関係について、参加観察と聞き取り調査を行った。その結果、(1)新しく寝屋親を引き受ける夫婦は、夫34歳、妻29歳で、6・5・2歳の子どもがおり、寝屋子入りの2年前に決められた。(2)青年たちの親たちは、夫婦が若くて子どもが小さいが地域の中で人望と経済力がある夫婦を寝屋親として選んだ。(3)新しく寝屋親になる親父の方針としては、基本的には青年たちを自由にさせて、必要に応じて地域の中で迷惑になったり許されない最低限のルールやマナーを伝えていく姿勢であり、実の父親と青年を橋渡しできるような役割を演じる。(4)寝屋子を引き受けるにあたって、経済的・日常的な負担を強いられるが、家が活気づき自分の子どもたちに刺激が与えられることを期待している。(5)寝屋子への参加観察では、寝屋親は青年のにぎやかさを受容しながら青年との関係を形成するように努めており、青年は寝屋親やその子どもたちとリラックスした親密な関係をもちはじめていた。 研究2「伝統的制度と現代若者文化のはざまに生きる青年の文化的発達」では、答志島の青年に対する聞き取り調査を行った。その結果、(1)青年は中学を卒業すると寝屋子に入ると同時に、島外の高校に通い始めるので現代の若者文化に触れる機会が多くなる。(2)高校卒業後に島内で働くようになると青年は地域行事に対して中心的な役割を演じるようになるが、高校時代の友人とは週末にいっしょに遊ぶなど、重要な島外の拠点であり続けている。(3)結婚を意識し始めると島外の女性と付き合っている者は、現実的な島での生活を十分に伝えて理解をえる必要性が生まれるが、これが大きなハードルになっている。
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