2000 Fiscal Year Annual Research Report
配偶者の死への適応とサクセスフルエイジングに関する縦断研究
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11610162
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 千恵子 (財)東京都老人総合研究所, 心理学部門, 研究員 (00142646)
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Keywords | 配偶者との死別 / 悲嘆 / 適応 / 孤独感 |
Research Abstract |
本研究の研究者は、1984年に配偶者と死別した184人の男女について、死別から平均8ヶ月後に面接調査を実施し、死別後の心理的な問題を明らかにした。その後現在までに十数年の歳月を経て、配偶者の死を取り巻く社会環境はかなり変化している。例えば同居家族数の減少に加えて親族関係や近隣関係の希薄化などがあり、配偶者の死への対応が難しくなってきているように思われる。それゆえ現代における配偶者の死とその後の適応について検討することは緊急な課題であると考え、本研究は新たに配偶者と死別した人々を対象に面接調査を行い、すでに実施された旧調査と比較することを目的とした。新調査については、1999年6月から翌年3月までの間に配偶者と死別した人で、死亡した配偶者が50歳以上の人を対象に、2000年6月から8月まで訪問面接による調査を実施し、276名の回答を得ることができた(回収率は57.3%)。新調査対象者の平均年齢は72.3歳で、旧調査対象者の71.0歳より僅かに高かったが、有意差は無かった。しかし、社会環境の変化に対応して家族形態や生存している子どもの人数等に2群間で有意差が認められた。新対象者は3世代同居者が少なくなり、一人暮らしが多く、また家族数と子ども数は少なくなっていた。死の衝撃や死別後の心理的反応については2群間で有意差はなかった。しかし、男女ともに新対象者のほうが孤独感が高かく、また日常生活の困難度は男性では2群間に差は見られないのに女性では新対象者のほうが高くなっていた。新対象者は死別の衝撃や悲嘆の大きさについては旧対象者と比べて差は認められなかったが、その後の適応に関して困難な問題があることが示唆された。
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Research Products
(1 results)