2002 Fiscal Year Annual Research Report
配偶者の死への適応とサクセスフルエイジングに関する縦断研究
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11610162
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
河合 千恵子 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・痴呆介入研究グループ, 研究員 (00142646)
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Keywords | 配偶者の死 / 中高年 / 悲嘆 / 援助の受領 / 有益なサポート |
Research Abstract |
配偶者と死別した人々が悲嘆を乗り越えるためには、悲嘆への対処に関わる自助努力と並んで、周囲の人々の援助が重要である。本年度は援助について焦点をあて、援助の受領とその有益性に関して調査を行なった。配偶者と死別した中高年者1194人に調査協力の依頼状を送付し、協力が得られた127名(男性34名、女性93名)に、郵送と面接を併用して調査を実施した。調査対象者の平均年齢は70.28歳であった。 多くの対象者が様々な援助を受け取っていたが、回答で最も多かったのは「気遣い」で、「電話してくれた」、「話を聞いてくれた」がそれに続いていた。これらの項目への回答には有意な性差は見られなかった。有意な性差が認められたのは「相談」、「一緒にいてくれた」、「ご馳走してくれた」の3項目で、いずれも女性のほうが回答が多かった。 受け取った援助が有益かどうかを調べるために、受け取った援助のうち最も役に立った援助と役に立たなかった援助を尋ねた。「気遣い」は、してもらった援助として最も多く回答され、且つ最も役に立った援助として挙げられていた。「電話してくれた」、「話を聞いてくれた」「相談」も多くの人が受け取った援助であり、同時に最も役に立った援助としても挙げられていた。「役所などの手続き」は最も役に立った援助として上位に挙げられていたが、この回答には有意な性差が認められ、女性にとっては有益なサポートであることが示された。「物をくれた」「贈り物をくれた」「ご馳走してくれた」という援助は、受領した援助としてはかなり多く挙げられていたものの、最も役に立った援助には挙げられていなかった。本研究では、物質的援助や手段的援助よりも、気遣い、電話、相談など対人的な援助のほうが有益な援助となっていた。これは、対人的な援助は悲嘆のプロセスを促進させ、死別の苦しみを緩和させることに貢献するためであることが示唆された。
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