2000 Fiscal Year Annual Research Report
海外駐在日本人のソーシャルストレスとその対応策に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
11610169
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
江川 緑 東京工業大学, 留学生センター, 助教授 (40251615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 喜比古 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10174666)
矢野 眞和 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (30016521)
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Keywords | 派遣駐在員 / 国際人事管理 / ソーシャルストレス / 国際比較 / ベルギー |
Research Abstract |
本研究は、海外駐在日本人のソーシャルストレスの特徴とその関連要因を明らかにし、対応策のあり方に検討を加えることを目的としている。93年にEUの首都ブリュッセルに駐在する日本人(N=360)を対象に、そのソーシャルストレスの実態やその関連要因に検討を加えた。その結果、日本出国前からの駐在受け入れにあたっての不安の有無、とりわけ「帰国後の処遇・昇進」、「両親の面倒や老後」、「子供の教育」という駐在そのものに関する要因が有意に関連していることが明らかとなった(p<0.01)。そこで、これらの結果を仮説として、同様の調査をブリュッセル駐在日本人(N=198)、米国人(N=56)、欧州人(N=52)に実施し、こうした要因が日本人に認められる特徴か、また日本人だけでなく各国の駐在員に共通に認められる要因であるかを明らかにするため国際比較を行い、仮説の検証を試みた。 適応関連要因については、今回の日本人調査で、「帰国後の処遇昇進」、「子供の教育」、「海外での経営管理能力」が有意に関連しており(p<0.001)、個々の項目での違いはあるものの、駐在受け入れにあたっての不安の有無が適応に関連するという仮説が支持された。欧州人では「子供の教育」が有意に関連していた(p<0.01)。米国人では「帰国後の処遇昇進」、「配偶者の仕事の中断」が関連する傾向は認められたが(p<0.1)、日本・欧州人のような有意な関連は認められなかった。 日本人については、駐在受け入れ時の「帰国後の処遇昇進」と「子供の教育」に関する不安が適応に有意に関連していることが検証されたが、欧米についてはサンプル数が限られ一般化の限界はあるものの日本と共通の傾向も認められ、一概に日本人駐在員のみの特徴ではないものと考えられた。これら駐在受け入れ不安に関する適応関連要因は、海外派遣に先だって企業の把握が可能な項目であり、今後の国際人事管理面での対応策充実にむけてに示唆するものが大きいと考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 江川緑: "ブリュッセル地域日本人派遣駐在員のメンタルヘルス(その1)-1993/2000年調査の比較を中心に-"経営行動科学学会第3回発表論文集. 65-72 (2000)
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[Publications] 金野美奈子: "ブリュッセル地域日本人派遣駐在員のメンタルヘルス(その2)-国際比較の試み-"経営行動科学学会第3回発表論文集. 73-79 (2000)
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[Publications] 大西晶子: "ブリュッセル地域日本人派遣駐在員のメンタルヘルス(その3)-ベルギー人・日本人との交流を中心に-"経営行動科学学会第3回発表論文集. 80-85 (2000)
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[Publications] 江川緑: "ブリュッセル地域駐在日本人の生活適応の実態とその関連要因"第73回日本社会学会大会報告要旨. 293 (2000)
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[Publications] 江川緑: "海外派遣勤務者の生活適応の実態とその関連要因に関する研究"第21回日本社会精神医学会抄録集. (未定). (2001)