1999 Fiscal Year Annual Research Report
視覚メディアにおけるジェンダー・ディスプレイのミクロ社会学的分析
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11610171
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
安川 一 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (00200501)
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Keywords | 視覚メディア / ジェンダー・ディスプレイ / ミクロ社会学 / 相互行為論 / 視覚の社会学 / ビジュアル社会学 / 映像データベース / テレビコマーシャル |
Research Abstract |
本研究は、日常的な視覚メディアのジェンダー・ディスプレイ様式とその受容のあり方を、相互行為論的枠組みのもとで実証的に分析することを目的とするものである。主要な作業課題は次の2つである。第1に、視覚経験、とりわけ視覚メディア経験に関る既存の社会学的研究を整理・検討し、「視覚の社会学」を理論的・方法論的に整備するとともに、そうした研究の射程と可能性を明らかにすること、そして第2に、視覚メディアのジェンダー・ディスプレイの様式を分析することを通して、日常的なメディア経験のあり方とその蓄積をふまえつつ既存のジェンダー・コミュニケーション研究を再構成することである。 1年目の今年度は、2つの課題の遂行に向けての準備作業として、おもにテレビコマーシャルの映像データベース化を行った。在京キー局5局の計280時間分の放送録画テープから、コマーシャルのQuickTimeムービーを作成し、個々の基礎データとともにデータベース化した。これは、のちに分類等に関る記述を加え、それをもとに検索-分析できるよう設計されている。また、データベースから特定テーマ(化粧、身体ケア)に関るレコードを抽出し、雑誌広告を素材とした既存の分析手法を参照しつつ、内容分析的作業を試行した。 他方、視覚メディア経験に関る既存の社会学的研究を相互行為論的見地から再検討した。記号論-構造論的、あるいはイデオロギー批判論的見地からなされることの多い先行研究の検討を通して、視覚メディア経験の日常的蓄積それ自体の社会学的意味を考察するという本研究の課題と意義が再確認された。検討過程で得られた「視覚的フォーマット」という概念を手がかりに、数少ない先行研究である科学社会学的研究やエスノメソドロジー的研究を参照しつつ、作成したデータベースを用いて相互行為論的分析を具体化するのが次年度の課題である。
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