2001 Fiscal Year Annual Research Report
対人サービス組織における「規則語り」の会話分析的研究-学童保育を事例として-
Project/Area Number |
11610178
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Research Institution | Osaka-Kyoiku University |
Principal Investigator |
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (70214947)
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Keywords | 会話分析 / 対人サービス組織 / 学童保育 / 規則 / 参与 |
Research Abstract |
本研究では対人サービス組織の一種である学童保育施設において、規則語りと呼びうる一連の相互行為がどのように組織化されているのかを、会話分析的な手法を中心にして解明することが自的であった。最終年度である本年は、収集したデータを分析し、次の知見を得た。 1.規則語りは、指導員が保育の中で直面する偶発性に対処可能な意味を見いだしていくために用いられている方法的構造を参照して行われることを明らかにした。この構造には、(1)保育計画の作成・修正を中心とした「時間的構造化」、(2)子どもがいる場所とそこでの身体配置に関わる「空間と身体の構造化」、(3)子どもたちへの「成員カテゴリー化」と「社会的タイプ」の形成、(4)恒常的な困難への対処を正当化する「実際的イデオロギー」が含まれる。 2.ビデオデータから代表的な規則語りとして「注意をめぐる相互行為」の場面を抽出し、発話の形式的特徴、相互行為のシークエンス構造を明らかにした。注意を開始する発話は、(1)相手の関与に突き刺さる、(2)相手を発話のアドレス先にすると同時に言及世界の登場人物にする、という形式的特徴を持つ。これによって開始されるシークエンスは、異なる起点を持つ二つの行為コースが並行して進行する「対位法的行為連鎖」と呼びうる独特の形式を持つ。注意において参照される規則はしばしば相互行為の中で「ひもとかれ」るが、ひもときの契機として「抵抗」という反応が、「釈明」や「根拠質問」などよりも優越している。
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